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文献詳細

雑誌文献

検査と技術52巻8号

2024年08月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

日本では抗核抗体の国際分類は採用されないのでしょうか?

著者: 林伸英1

所属機関: 1神戸常盤大学保健科学部医療検査学科

ページ範囲:P.804 - P.808

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はじめに

 抗核抗体(antinuclear antibody:ANA)検査は,膠原病や肝疾患などの自己免疫疾患の診断や病態の把握において重要な検査で,現在ではヒト喉頭癌由来培養細胞であるHEp-2細胞を基質(核材)とした間接蛍光抗体法(indirect immunofluorescence assay:IFA)がANA検査の一次スクリーニングとして広く用いられている.

 ANA検査のハーモナイゼーションは進んでいなかったが,近年,ANA検査の染色型に関するコンセンサスを推進するために国際的ワークショップとしてInternational Consensus on Antinuclear Antibody Patterns(ICAP)が組織された.第1回の会合は2014年にサンパウロで開催され,2年に1回程度の会合を継続して行う新たなプロジェクトが進められている1).公式ウェブサイト2)において,染色型命名と分類,対応抗原と臨床的意義の解釈などが発信されている.

 日本の日常検査としてのANA検査の染色型は,以前から報告されている基本分類が用いられていることが多く,ICAPによる分類を用いている施設は少ない.本稿では,ICAPによるANA検査の染色型分類を紹介するとともに,日本での現状や問題点を解説する.

参考文献

1)Damoiseaux J, et al. Clinical relevance of HEp-2 indirect immunofluorescent patterns: the International Consensus on ANA patterns (ICAP) perspective. Ann Rheum Dis. 2019; 78: 879-889.
2)International Consensus on Antinuclear Antibody Patterns. https://anapatterns.org(2024年5月19日アクセス)
3)今西麻樹子,林伸英.抗核抗体検査の自動化と国際ガイドラインの動向.神戸常盤大紀.2019;12:1-8.
4)Bizzaro N, et al. Automated antinuclear immunofluorescence antibody screening: a comparative study of six computer-aided diagnostic systems. Autoimmun Rev. 2014; 13: 292-298.
5)林伸英,他.間接蛍光抗体法による抗核抗体検査 コンピューター支援型顕微鏡システムの評価.臨病理.2016;64:142-151.
6)室慶直,他.抗DFS70抗体の臨床的意義と新たに開発された測定系.医と薬学.2008;59:257-262.
7)林伸英,他.2章 免疫と疾患 2.7:自己免疫疾患.日本臨床衛生検査技師会(監).JAMT技術教本シリーズ 臨床免疫検査技術教本.丸善出版,2017:pp.93-110.
8)Hayashi N, et al. Prevalence of anti-dense fine speckled 70 antibodies in healthy individuals and patients with antinuclear antibody-associated autoimmune rheumatic diseases in Japan. Medicine 2021; 100: e24556.
9)三森経世.ICAP—抗核抗体検査のNew Movement.自己抗体と自己免疫2023 第30回自己抗体と自己免疫シンポジウム講演録集.医学生物学研究所,2023:pp.12-17.
10)International Consensus on Antinuclear Antibody Patterns. Nomenclature and Classification Tree. https://anapatterns.org/trees-2021.php(2024年5月19日アクセス)
11)von Mühlen CA, et al. How to report the antinuclear antibodies (anti-cell antibodies) test on HEp-2 cells: guidelines from the ICAP initiative. Immunol Res. 2021; 69: 594-608.
12)Vercammen M, et al. Analytical aspects of the antinuclear antibody test by HEp-2 indirect immunofluorescence: EFLM report on an international survey. Clin Chem Lab Med. 2023; 61: 1199-1208.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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