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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻1号

1978年01月発行

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

細胞診における固定の理論

著者: 池田栄雄1 田中昇2

所属機関: 1千葉県がんセンター臨床検査部 2千葉県がんセンター研究所

ページ範囲:P.19 - P.22

文献概要

 固定の意義と目的
 生体から解離した細胞は,血液や組織液による栄養,酸素補給などが断絶して,細胞内分解酵素や細菌などの働きにより,速やかに変性,崩壊に陥る.固定することにより,細胞内分解酵素を無力にして自己融解を阻止し,死後変化を防ぎ,なるべく生前と同じ状態に細胞構造を保持しようとするとともに,細胞の主成分を不溶性にして,細胞が生の状態では,細胞構造が不明瞭で染色性が弱いので,人為的に細胞の目的とする成分を凝固せしめ,染色性を増強させて観察しやすくする.このような細胞像は人工的な状態であるが,同じように固定され,同じように処理された細胞像であれば,その違いは,生前の状態においても何らかの違いがあったと言いうる.組織,細胞診断学は,このような状態の細胞像を利用して,生理的,病理的状態の知見を経験的に積み重ねて,現在の診断基準を作り上げている.したがって常に良好な固定状態,良好な処理を施した標本によってのみ,初めて正しい組織細胞診断基準が応用され得る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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