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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻10号

1978年10月発行

文献概要

病気のはなし

アルコールによる肝障害

著者: 藤沢洌1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第1内科

ページ範囲:P.776 - P.784

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 常習大酒家に伴いやすい肝障害—いわゆるアルコール性肝障害は,一般に脂肪肝,アルコール性肝炎及び肝硬変の3つの病態に分類されている.寡食による低栄養ないしは食事のカロリー組成のアンバランスを伴う常習大酒家では,ほぼ確実に脂肪肝を発症するが,アルコール性肝炎,肝硬変の発症は常習大酒家の10〜20%にすぎない1〜3).かつては脂肪肝がアルコール性肝硬変の前駆病変として重視され,脂肪沈着による二次的な肝細胞の変性壊死が肝硬変への橋渡しをすると考えられたが,脂肪肝が重症の肝細胞障害を伴って肝硬変へ移行する症例は極めて少なく,また大酒家における脂肪肝の高頻度の発症に比してアルコール性肝硬変の発症頻度が著しく低いという事実から,アルコール性肝硬変の前駆病変としては脂肪肝よりもアルコール性肝炎が重視されるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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