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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻11号

1978年11月発行

文献概要

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

尿タンパク分析の基礎

著者: 降矢震1 降矢熒2

所属機関: 1千葉大学病院検査部 2東京女子医科大学生化学

ページ範囲:P.870 - P.873

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 初めて腎臓病患者の尿中にタンパクを見いだしたDekkers(1673)は,金のさじで尿を煮沸したと伝えられている.Malpighiが顕微鏡で初めて赤血球をみたとき(1665)から数年後のことである.この煮沸法は原始的のようではあるが,三百年後の今もなお日常検査として広く使い続けられている,十九世紀以降,有機化学の目覚ましい進歩により,タンパク質の諸性質がしだいに明らかにされるようになり,それらを利用して様々な種類の臨床検査が行われるようになってきた.
 尿に出現するタンパクは主として血清アルブミンであるが,多少の差はあれ各種グロブリンが混ずることが多い.これらは単純タンパクと言われる.単純タンパクは二十数種のアミノ酸からなる(わずかに糖質を含むものもある).これらが様々な序列にpeptide結合(-CO-NH-)で連なり,この鎖が-S-S-結合,水素結合などで,折り重なりあるいは螺線状になり,更にこれが複雑な立体構造を作っている,アミノ酸連鎖末端の遊離アミノ基,カルボキシル基のほか,アミノ酸側鎖の各種塩基性基,カルボキシル基が遊離状態で多くあるため,両性電解質*1である.血清アルブミンの等電点は4.9,血清各種グロブリンは平均約5.5である,分子量は血清アルブミンは約7万,血清各種グロブリンはその2〜3倍である.いずれも高分子の親水性膠質*2として存在している.以上のような諸事項に関する諸性質が分析に利用されることになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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