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文献概要
測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
尿タンパク分析の基礎
著者: 降矢震1 降矢熒2
所属機関: 1千葉大学病院検査部 2東京女子医科大学生化学
ページ範囲:P.870 - P.873
文献購入ページに移動尿に出現するタンパクは主として血清アルブミンであるが,多少の差はあれ各種グロブリンが混ずることが多い.これらは単純タンパクと言われる.単純タンパクは二十数種のアミノ酸からなる(わずかに糖質を含むものもある).これらが様々な序列にpeptide結合(-CO-NH-)で連なり,この鎖が-S-S-結合,水素結合などで,折り重なりあるいは螺線状になり,更にこれが複雑な立体構造を作っている,アミノ酸連鎖末端の遊離アミノ基,カルボキシル基のほか,アミノ酸側鎖の各種塩基性基,カルボキシル基が遊離状態で多くあるため,両性電解質*1である.血清アルブミンの等電点は4.9,血清各種グロブリンは平均約5.5である,分子量は血清アルブミンは約7万,血清各種グロブリンはその2〜3倍である.いずれも高分子の親水性膠質*2として存在している.以上のような諸事項に関する諸性質が分析に利用されることになる.
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