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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻11号

1978年11月発行

技術講座 病理

脱灰法

著者: 町並陸生1 諏訪幸次1 須山貞子2

所属機関: 1東京大学病理 2東京大学病院病理部

ページ範囲:P.898 - P.902

文献概要

 骨,歯,古い結核病巣,粥状硬化の著明な動脈壁などの石灰の沈着している組織を薄切する場合には,通常,脱灰(decalcification)が必要である.多少無理をすれば,若いwoven boneや動脈壁などで石灰沈着の軽度の場合には,脱灰せずにパラフィン切片を作ることが可能である.その場合,メスの刃を傷め,また,きれいな切片はなかなか得られず,詳細な観察に支障を来すことが多い.
 骨は人体を構成する成分のうちで,最も広く体内に分布する石灰化組織であるので,ここでは骨の脱灰について述べたい.骨は骨膜,骨髄及び骨質より成る.骨質は骨基質(bone matrix)内に骨細胞が散在するという構造を示す.Bone matrixは,膠原線維束にタンパク質・多糖類複合体の基質(ground substance)及びbone mineralが沈着したもので,bone mineralはcalcium hydroxyapatite Ca10(PO46(OH2)と呼ばれる結晶状物質である1).脱灰は,このcalcium hydroxyapatitecrystalsを除去する操作で,そのための薬剤として,硝酸,トリクロル酢酸,ギ酸,ズルポサリチル酸などの酸(acids)とEDTAなどの有機キレート剤(organic chelating agents)の2種がある2).これらの脱灰剤は,通常のパラフィン切片,酵素組織化学用切片,電子顕微鏡用切片などの目的に応じて使い分ける必要がある.そのほか,電気脱灰法,イオン交換樹脂による脱灰法などがある3〜5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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