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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻2号

1978年02月発行

文献概要

おかしな検査データ

血液ガス分析での異常値—HCO3=4mEq/l? Anion Gap=26mEq/l?

著者: 岡村一博1 高橋浩1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部

ページ範囲:P.178 - P.179

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 本題に入る前に簡単に解説しておきたい.血液ガス分析と電解質検査は酸塩基平衡と電解質バランスの病態診断と治療に欠くことのできない検査である.動脈血を嫌気的に採血し,pH・PCO2・HCO3・PO2などを測定して血液pHの恒常性が呼吸性因子(pCO2)と代謝性因子(HCO3-)のバランスでどんな状態にあるか調べるのは診断治療に直結する有用なもので,今後しだいに普及してゆくであろう.電解質検査は多くの病院でルーチンに行われているが,Na,K,CIなどの他にCO2成分の測定も併せて行われたら,ある程度まで酸塩基平衡障害を推量できる.
 ナテルソンの微量ガス分析装置ではCO2content(HCO3とpCO2の和)が測定されるが,この値が異常値となるのはHCO3かPCO2のどちらか(または両方)が異常であることを示し,臨床的には代謝性因子であるHCO3単独を測定するほうがCO2contentを測定するより望ましい.しかもガス分析装置ではガスそのものを測定するため,嫌気的に検体を扱わなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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