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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻3号

1978年03月発行

文献概要

技術講座 血清

寒冷凝集反応

著者: 笠原和恵1

所属機関: 1岡山済生会総合病院臨床検査科

ページ範囲:P.215 - P.219

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 ヒトの血清中には,4℃付近の低温域で,ABO式の血液型と無関係に,自己赤血球,あるいはO型赤血球を凝集する,いわゆる寒冷凝集素が存在する.低い抗体価の寒冷凝集素は健康人血清中に通常存在するが,高抗体価の寒冷凝集素は,マイコプラスマ肺炎や自己免疫性溶血性貧血の寒冷凝集素病患者血清中に認められる,この寒冷凝集素病においては,一般に高力価の寒冷凝集素の存在を示す報告例も多く,この場合反応温度域も広い.すなわち,4℃前後の低温域のみならず,20℃前後においても凝集がみられるため,後述の採血及び血清分離などに留意を必要とする.
 寒冷凝集素はI式血液型と関連がある.1958年Wienerらは高凝集素価を示す寒冷凝集素(抗I抗体)と4℃においても,反応の極めて弱い赤血球がまれに存在することを発見し,これをi型,あるいはI陰性と命名した.その後,1961年Marshは抗Iに対照的な抗i抗体を発見し,これら抗体(抗I,抗i)によって分類される血液型をI式血液型と名づけた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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