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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻8号

1978年08月発行

文献概要

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

ハースト現象

著者: 富山哲雄1

所属機関: 1東京大学分院中央検査部

ページ範囲:P.615 - P.619

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 免疫学者であり,また同時にインフルエンザ学者として著名なSir M. Burnettは"人や動物のウイルス性疾患の制御の実際的進歩のほとんどすべてはE. Goodpastureが発見したウイルスの孵化鶏卵培養という一つの発見に由来している"と述べ,また,National FoundationのG. Dalldorfは,近代ウイルス学の初期の三大技術として"鶏胚を用いる培養法,超遠心法,電子顕微鏡法"をあげてウイルス鶏卵培養法の開発を絶讃している.実際,インフルエンザウイルスの培養がフェレットにとどまっていたならば今日のインフルエンザ学は望むべくもなかったに違いない.
 しかし,鶏卵で培養されたインフルエンザウイルスを簡単かつ迅速に定量し,精製を可能にし,更に抗体価を測定する道を開いたのはほとんどHirstの発見にかかる血球凝集反応,すなわちハースト現象をきっかけにしたものであり,Goodpastureの鶏卵培養法と並ぶ業績というべきであろう.HirstはRockfeller医学研究所で鶏卵によるインフルエンザウイルス培養の実験中に,ニワトリの血液とウイルスが混ざって皿の中にこぼれ,そこに血球が凝集しているのを発見した,と伝えられている.時にGeorge Hirst 32歳,1941年のScience誌に第一報をかざっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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