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文献詳細

雑誌文献

検査と技術6巻9号

1978年09月発行

文献概要

知っておきたい検査機器

浸透圧計

著者: 鈴木明1 斎藤正行2

所属機関: 1北里大学病院臨床検査部 2北里大学臨床病理

ページ範囲:P.759 - P.762

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 体液の浸透圧測定は,体内の水・電解質バランスを知るうえで欠くことができない検査として,我々の病院では日中の電解質測定の25%に,日中至急とか当直検査の15%に,つまり1日約100件の依頼がある.したがって最近は完全自動の機器まで誕生してきている.以前はこの主導権を握るナトリウム(Na)を測定すれば,ほぼ推定されるとされていたが,今日の高度の医療では,Na,クロール(C1)のほかに,浸透圧を左右する因子も多い.例えば体内で高血糖や高窒素血症が展開するときに起こるDelusional hyponatremiaや高脂血症,高タンパク血の水分の含量に関係して発生するDisplacement hyponatremiaといったPseudohyponatremiaの場合,浸透圧を測定しないと,間違ってNaを補液し,医原性の脱水症を惹起させてしまう.また,尿の浸透圧データなしでは,腎の正しい濃縮力を知ることはできないとも言われている.したがって,手術,点滴,輸血,多尿,乏尿,下痢,嘔吐時には,緊急検査としても頻々と依頼される.
 幸い電子技術の進歩により,現在では体液浸透圧測定は,そう難しい検査ではなくなったが,電解質検査(特にNa,K,Cl)と同様に,そのデータには高い精度が要求されるから,測定も十分な注意のもとに行われなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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