icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術7巻1号

1979年01月発行

文献概要

おかしな検査データ

アルカリホスファターゼ活性の著しい低値

著者: 富田仁1

所属機関: 1京都大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.60 - P.61

文献購入ページに移動
 日常診療でアルカリホスファターゼ活性(ALP)が低値を示す場合は,甲状腺機能低下症か,本態性というか先天性というのか体質的な低ALP血症であり,症例数から言えばそんなに多いものではない.それ以外は,検体の取り扱いの問違いにあることが多い.EDTA入り血漿が,提出された場合にはALPは低値というよりも0である.これについては本誌でも過去に2回取り上げられており1,2),ALPの酵素活性を賦活するMgイオンがEDTAによって除去されるからであると説明されている(著者はMgイオンが除去されて活性が0になるという考えを否定するものではないが,EDTA血漿でALPがいつでも0になるのはおかしい.時には低値を示す場合があってもよいのではないかと考え,ALPという酵素を調べてみるとZnを含んだ金属酵素であるということを知った3),そこでEDTA加血漿のALP活性がいつでも0ということは,賦活剤としてのMgイオン除去のほかに,ALP酵素そのものが阻害されていると考えたほうがよいのではないかと考えている).このようにEDTA加血漿でのALP活性は低値というよりも0と言ったほうがよく,その疑いがあった場合には同じ材料についてCaを定量すれば0であるので,すぐに気がつく.
 今回は,EDTA入り血漿でもなく,甲状腺機能低下症でもないのに,ALP活性が著しい低値を示した症例を経験した.SMA12/60でのALP正常値は30〜85mU/mlであるが,本患者は7であった.これをKA単位(正常値4〜12)に換算すれば,約0.9KA単位であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら