文献詳細
測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
文献概要
近年,LDHをはじめとして多くの酵素(ALP,CPK,アミラーゼなど)のアイソザイムの測定が日常検査に取り入れられ,損傷臓器の推定という観点で多くの情報を提供してきた.そのうちで通常のアイソザイム分画の易動度とは異なっているものは総称してアノマリーと呼ばれているが,それぞれの症例について,そのアイソザイム分画で易動度が変化する理由については不明な点が多かった.しかし,これらアノマリーのうちで酵素と免疫グロブリンの複合体がかなりの部分を占めていることが免疫電気泳動後の沈降線を酵素活性染色する方法を用いて明らかにされてきた1,2).この方法は酵素免疫電気泳動法(E. IEP)とも呼ばれている.この方法が普及するにつれ血中総酵素活性の評価のうえで,病態あるいは関連酵素活性値との間に矛盾が観察されたときには,これら酵素と免疫グロブリンとの結合が想定されてアイソザイム分画ならびにE. IEPが必要とされるようになってきた.マクロアミラーゼとして昔から知られていたもののうちの大部分の例がアミラーゼ免疫グロブリン複合体であること3,4)も,この方法が駆使されて判明したものであり,関連酵素活性値の間で観察された矛盾は酵素と免疫グロブリンが結合したために,その酵素の持つ生物学的な半減期に変化がもたらされたためと理解されるようになった.ここでは酵素免疫グロブリン複合体の検出を目的として用いられているE. IEPについて概説する.
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