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文献詳細

雑誌文献

検査と技術7巻11号

1979年11月発行

文献概要

知っておきたい検査機器

グルコースアナライザー

著者: 高原喜八郎1

所属機関: 1神奈川県立衛生短期大学

ページ範囲:P.937 - P.940

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 血液,髄液,尿など生体試料中のグルコースの定量は古くから医療において必須重要な検査項目であり,日常検査件数の増加とともに緊急検査の要望も著明に増大してきており,例えば採血後直ちに1〜2分間で正確な結果を得る必要性が登場してから久しい.
 特に血液中のグルコースは血糖(Bloodsugar,Blutzucker)として臨床検査室での重要項目の一つとして,その検査方法が時代とともに様々な変遷の歴史を歩んできており,またその試料の種類からも厳密には血清糖,血漿糖,全血糖として区別されなければならない.すなわち全血中のグルコースは血漿中及び血球中において,それぞれの水分中に均等に溶解分布されているわけであるが,血球中の水分が血漿中のそれより約10%少ない(大量の血色素の存在のため)ことにより,グルコースの濃度も血球中が90mg/dlとすれば,血漿中のそれは100mg/dlであるというごとく理解されている.そしてこれらの分布はヘマトクリット(Ht)値に応じて全血値に影響していることも言うまでもない.またグルコースが赤血球膜を通過する速度も,いろいろな実験成績などから瞬間的に速いものであると考えられている.しかし,もし除蛋白の試薬によっては,赤血球膜がグルコースの通過するより速く凝固してしまったらHt値による全血値への影響は大なるものとなる恐れがあり,この点が全血法における注意すべき問題ではある.これから述べようとするグルコースアナライザー(GAと略す)にも血清(漿),全血両用のものもあれば血清(漿)のみの製品もあることから,この点についての認識も機種選定に当たって重要であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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