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文献詳細

雑誌文献

検査と技術7巻4号

1979年04月発行

文献概要

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

肺拡散能

著者: 加藤幹夫1 三嶋理晃1

所属機関: 1京都大学結核胸部疾患研究所臨床肺生理

ページ範囲:P.298 - P.303

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 肺は体内へのO2の摂取,体外へのCO2の排出という,生命に欠くべからざる機能を持っている.さて,この呼吸機能は,①肺胞気と空気との間でのガス交換(換気)*1,②肺胞気と肺毛細血管血との間のガス交換,③肺内での血液の循環(肺循環),の主に三つの過程によって営まれている.
 さて,②すなわち,肺胞気から血液へのO2の摂取,また,血液から肺胞気へのCO2の排出は,もっぱら拡散という物理的現象によって行われている.以前は細胞膜におけるNa-Kポンプと同様,能動輸送によってガス交換が営まれているという説もあったが,Kroughらによって,このO2分泌説が否定されて以来,物理的拡散が定説になってきた.ところで,CO2の拡散能はO2の拡散能の約20倍もあり,拡散速度のCO2排出に及ぼす影響は,O2摂取に及ぼす影響ほどには重要に考えられてはいない.これに対して,生体外から細胞に至るO2運搬経路の中で,肺胞気から赤血球に移る間のO2分圧の差が最も大きく,拡散速度はO2摂取量を規定する重要な因子となっている.各種の呼吸器疾患の中には,この拡散能力の低下がその病像の特徴を形づくっているものもあり,拡散能力の測定は,臨床診断のうえで大きな意味を持つ.ここでは,まず拡散能力の定義,意味づけについて述べ,次に具体的な測定方法の原理,手順,問題点などについて詳しく触れたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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