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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻1号

1980年01月発行

文献概要

検査法の基礎理論 なぜこうなるの?

正常値の理論

著者: 北村元仕1

所属機関: 1虎の門病院臨床化学検査部

ページ範囲:P.14 - P.21

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 正常値は言うまでもなく診療のために,検査データの異常を識別する尺度である.だから,それは臨床検査の歴史の始まりから存在したはずであるし,診断の基本であるから,それはメートル原器のように不動の存在で,今更議論の余地はないように,一見,思われる.
 ところが事実は全くそうではない.正常値という言葉がうるさく言われ出したのはむしろごく近年のことである.細かい数値で表される化学検査のデータですら,かなり長い間,実際にはものさしをきちんと当てられることなしに,大変大ざっぱに読み取られていた,ちょっと不思議に思われるかもしれないが,それには2種のやり方がある.第1は,細かい数字は問題にしないで,正常値のおよその位置を知ってデータを定性的に判読する方法である,例えばトランスアミナーゼについて言えば,病気でないときはかなりの低値とし,50〜60単位になれば±,100単位を越せば明らかな上昇,1,000単位にもなれば3+といった判断をする.急性肝炎の診断に10単位や20単位の動きは問題にならないからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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