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最近の検査技術
Baumgartner法による血小板粘着能の測定
著者: 稲垣稔1 山田兼雄2
所属機関: 1慶応義塾大学小児科 2聖マリアンナ医科大学小児科
ページ範囲:P.49 - P.52
文献購入ページに移動本法はBaumgartnerらにより7〜8年前より開発されてきた方法であるが1),従来のSalzmannらの方法のように人工的表面であるガラスビーズへの粘着を血小板の停滞率で見ようとするのとは根本的に異なり,家兎大動脈を用いて実際の血管壁に血小板を粘着させ,光顕で観察しようというものである.また,生体内の動脈内環境を再現するために,人工透析用ポンプを利用して,毎分150mlの血流を作り出し,その回路内に置かれた血管片に血小板を実際に粘着させ血小板血栓を作り出そうとするものであり,血小板粘着能の測定法としては今までにない独得な方法と言える.
本法の臨床への応用は極めて有用で,血小板機能異常症,出血性疾患,血栓性疾患などに広く応用され,更に治療効果の判定などにも用いられ,数多くの知見が得られている.ほかの多くの血小板機能検査法に比べ,血管壁との関連性を把握できること,実際に血栓形成を観察できること,臨床症状との相関が良いことなどの利点を有するため,血小板ならびに血栓の研究において,応用範囲の広い測定法として重要な位置を占めつつあると言える.
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