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技術講座 検体の取り扱いと保存
細菌検査
著者: 播金収1
所属機関: 1奈良県立医科大学病院中央臨床検査部
ページ範囲:P.833 - P.838
文献購入ページに移動 臨床検査の実施にさいし,その検査材料が最も当該検査目的に適した,最良の状態で採取され保存されてきたか否かは,その検査成績の結果はもとより,臨床診断に対して重大な影響を与えることは,今さら申すまでもない.特に細菌検査は,検査材料の適否によって,大きく成績の左右されるものであり,採取後速やかに検査に着手する場合と,長時間室温で放置した場合とでは,成績はまったく相反する結果を招き,同一の検体であっても,保存方法の違いによっては,まったく別人の検査成績のごとき結果を示す.最近の臨床診断における検査データの持つウエイトははかり知れないものがあり,検査室が不注意にもそのようなデータを提供した場合,臨床側はこれをよほどのことがない限り疑ってかかることはあり得ない.検査室が臨床側より提供された検査材料に対し,最善の条件で提供されたと信じているのと同様,臨床側もこれに対し,最善の検査結果として受け取るという,相互信頼のうえになり立っているということを銘記せねばならない.臨床検査とは最善の方法で採取された検体を,最善の方法で保存し,最善をつくして検査されるということでなければならない.この相互信頼のうえになり立つ重要な業務に関し,検査室としては絶対に裏切りがあってはならないことであり,ひいてはそれが,検査技師の信頼に連なる一つの過程であると筆者は考えている.このような見地から,細菌検査室として絶対守らねばならないルールと,検査材料の採取に当たり,当然励行したい最低の基準を記述する.
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