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東西南北
医療,検査と人間性
著者: 岡宏子1
所属機関: 1聖心女子大学文学部
ページ範囲:P.860 - P.860
文献購入ページに移動現代では,診断にこのようなホームズばりの洞察を発揮することが少なくなってきているといわれる.もちろん,人である患者にこれも人である医師が接して診察が行われることには変わりないが,その対人場面で,患者の語らずして語る情報を出来るだけ多くキャッチしようと,とぎすませた五感の網をはりめぐらすかわりに,機械による測定,採尿採血,更に必要に応じ次々に諸検査が指示される.これら検査の結果報告される数値や図形をぐいと睨みながら,おもむろにその意味するところを考えることによって,医師はより的確な診断が下せるようになってきているからであろう.そこで,患者がどんな訴えをもって医師の前に現われようと"まずは一通りの検査を"となり,次々に運ばれてくる検体の山を前に,検査技師は終日おおわらわという次第なのであろう.
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