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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻11号

1980年11月発行

文献概要

最近の検査技術

RIAの精度管理

著者: 柳下正樹1

所属機関: 1虎の門病院内分泌代謝科

ページ範囲:P.952 - P.959

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 ラジオイミュノアッセイ(radioimmunoassay以下RIA)を含めて臨床化学検査は,血液,尿などの検体に含まれる成分の測定を行い,臨床の診断,治療に必要な情報の提供を行うものである.この測定結果は測定方法,測定機器,測定者,検体そのものの性質など種々の条件に影響される.したがって,臨床検査が実際に有用であるためには,それが正しくかつ精度の高いものである必要がある.そのためには臨床検査の諸条件を標準化し,変動の因子を可及的明確にし,それらを客観的に評価する必要がある.精度管理はこのような目的で,検体の取り扱い方法,測定方法,測定データの処理法などを標準化し,その最終結果である測定値の統計学的な精度検定を行い,測定精度を常に一定の基準を満足する状態に保つものである.このような精度管理を行うことにより,測定値の信頼性を客観的に評価し,より精度,効率の高い検査法の確立を目ざすことが可能になる.精度管理の重要性は十分に認識されており,特に臨床化学検査の分野では広く一般化されている.RIAにおいても精度管理に関する基本的な考え方,統計学的精度検査法など他の臨床化学検査と全く同一である.しかしRIAにおいては一般の臨床化学検査とは異なるいくつかの重要な問題点があり,これらがRIAを理解し,精度管理を行ううえで大きな意味を持っている.本論ではこれらの問題点について以下のような点を中心に述べることにする.
 (1)RIAが定量検査としての意味を持つためにはどのような条件を満足させる必要があるか,特に第一抗体の特異性,標準物質によって得られる検量山線と検体によって得られる検盲ヒ曲線の平行性に関して:これはRIA検査を行う際常に明らかにされていなければならない点であるが,我が国のRIA検査の大部分が市販されているRIAキットを使って行われており,これらの問題点に関して必ずしも客観的な情報が得られない実情である,市販RIAキットが常にこれらの条件を満足していると盲信するのは危険であり,認識を新たにする必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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