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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻12号

1980年12月発行

文献概要

技術講座 細菌

Bacillus cereusの分離と同定

著者: 寺山武1

所属機関: 1東京都立衛生研究所微生物部

ページ範囲:P.1007 - P.1012

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 Bacillus cereus(セレウス菌)は自然界,特に土壌に広範に分布する常在菌であり,食物に汚染してこれを腐敗させるなど,主に雑菌としてよく知られるむきがある.しかしながら,近年B. cereusが食中毒の原因菌としてクローズアップされてきている.英国で,米飯,主にフライドライス(焼飯)を原因食とするブドウ球菌食中毒様の嘔吐を主症状とする食中毒が,B. cereusによるものであることが報告されて以来1),世界の多くの国で本菌食中毒発生が報告されるようになった2),実は,B. cereusが食中毒の原因となることはそれよりかなり以前から北欧や東欧諸国で問題となっていた3).しかし,それらの食中毒は下痢が主症状で,ほとんど嘔吐を伴わず,潜伏期は8〜16時間であった.これに対して,英国で初めて報告された本菌食中毒は嘔吐を主症状とし,潜伏期が1〜5時間であることから,前者を下痢型,後者を嘔吐型B. cereus食中毒と呼んで区別するようになった4)
 一方,B. cereusによる腸管系以外の各種の感染症,すなわち,敗血症5),心内膜炎6),髄膜炎7),骨髄炎8),肺炎9),気管支肺炎10),全眼球炎11),ガス壊疽様創傷感染12),術後感染11),などの報告が数多く見られ,これらの中には死亡例を含む重症例がかなり見られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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