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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻3号

1980年03月発行

技術講座 血清

血清補体価(CH50)の測定

著者: 近藤元治1 加藤治樹1 松村直幸1

所属機関: 1京都府立医科大学第1内科

ページ範囲:P.219 - P.224

文献概要

 血液中にC1,C4,C2,C3,C5,C6,C7,C8,C9(反応の順にC1,2,3,4,5……でなくて,C1,4,2,3,5……と順番が入れ替わっている点に注意)の9種類の成分と,それを促進あるいは阻害する因子から成る補体系(complement system)は,細菌感染に際して血液中に産生される抗体(antibody)とともに働いて,生体の感染防御に重要であることから知られるようになった.この細菌感染における補体の役割の主なものは,細菌の溶解(bacteriolysis),好中球による細菌の貪食作用(phagocytosis)におけるオプソニン作用(opsonization)の促進,及び補体の活性化により生じる白血球(主に好中球)を病巣に呼び集める白血球遊走因子(chemotactic factor)である.
 ところが,補体が細菌のような有害な細胞を破壊している限りにおいては,補体の役割は生体を守る立場にあるわけであるが,場合により自己を構成する細胞が破壊されるようになると,自己免疫疾患のように生体に害を与えることになりかねない.また,後で述べる補体の活性化が生じると,分解産物として前述の白血球遊走因子のほかに,血管透過性を亢進させるアナフィラトキシン(anaphylatoxin)や,好中球からライソソーム酵素(lysosomal enzymes)を放出させる因子が産生され,炎症を起こすことが分かってきた.ちなみに,皮膚に炎症が生じると発赤,発熱,腫脹,疼痛が生じるが,これらはいずれも補体の関与した白血球遊走,血管透過性亢進,あるいはライソソーム酵素放出で説明できるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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