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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻5号

1980年05月発行

文献概要

知っておきたい検査機器

凍結乾燥機

著者: 内田勝久1

所属機関: 1東京大学細菌学教室

ページ範囲:P.412 - P.415

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 現在,凍結乾燥は生物材料を扱う研究室において必要不可欠な実験手段の一つとなっており,単に少量の試料を変質することなく乾燥し保存するだけを目的とする小型で操作の容易な装置から,研究の特殊な目的に応じた諸種の形式のもの,更に工業生産工程に使用する大型の機種まで極めて多種類あるが,その基本的構造には異なるところはない.
 凍結乾燥という言葉は,Freeze-Drying,Freeze-Dehydration,Lyophilization,Drying by sublimationなどと言われ,人々がよく耳にするようになってから久しい.歴史的にみれば,1813年W. H. WollostonがRoyal Society of Londonで実験したのが最初で,1800年代末から1900年代初頭にかけ細菌やウイルスの保存法として欧米の研究室において使用されていた.その後,第二次大戦中輸血用の血漿や抗生物質の需要が増すにつれて,凍結乾燥の理論と実際は著しい進展をみた.我が国においても,1940年以降生物,医学,薬学の分野で研究が進められ,戦後BCGワクチンの量産が凍結乾燥法によって行われ,その後血液成分及び各種の生物製剤製造の重要な工程として,主として製薬工業において発達普及する一方,食品の工業的凍結乾燥技術は,コーヒーあるいはみそ汁などのインスタント食品製造において極めて重要な地位を占めるに至った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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