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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻7号

1980年07月発行

トピックス

最近注目されているCampylobacterによる感染症

著者: 小栗豊子1

所属機関: 1順大中検

ページ範囲:P.532 - P.532

文献概要

 Campylobacterは以前は嫌気性ビブリオと呼ばれていた.本菌は獣医学領域において家畜の不妊や伝染性流産の原因菌として注目されてきた細菌である.ヒトの感染症としては敗血症,髄膜炎などの全身感染症が古くから報告されている.この細菌はVibrio fetusと呼ばれていたが,Bergey'sマニュアル第8版ではCampylobacter fetus subsp.intestinalisと分類されている.
 一方,近年,Campylobacterによる下痢症が注目されてきた.この菌種は先のBergeyの書ではCampylobacter fetus subsp.jejuniと記されている.本菌種は0.2〜0.8×0.5〜5.0μmのラセン状に彎曲したグラム陰性無芽胞の杆菌であり,極単毛性の鞭毛を有し,コルク抜き様の運動をする.培養は微好気条件下では血液寒天,ブルセラ寒天,ミュラーヒントン培地に発育し,臨床用チオグリコレート培地,GAM半流動培地にも発育する.なお,初代培養では発育が遅れることがあるので3〜7日の観察が必要であるという.固形培地上での集落は0.5〜2.0mmの隆起した半透明S型である.下痢患者の便から本菌種を分離するには選択培地を用いる.この培地はSkirrowの培地と呼ばれ,基礎培地(Blood agar base No.2)にウマ溶血血液,バンコマイシン,ポリミキシンB,トリメトプリムが添加されている.なお,これらの薬剤はOxoid社よりCampylobacter用サプリメントとして市販されており容易に入手できる.また,微好気性の環境を作るには,ガスパック(BBL社,嫌気培養用)またはガスキットを入れた嫌気ジャーを用い,この際,触媒を除いておくことにより培養できる.好気条件下での培養や,嫌気培養では本菌種は発育しないので注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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