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おかしな検査データ
血清過酸化脂質測定時の問題点
著者: 篠原力雄1 迫田岩根2
所属機関: 1名古屋衛生技術短期大学生化学 2名古屋保健衛生大学医学部共利研
ページ範囲:P.598 - P.599
文献購入ページに移動現在,生体内における過酸化脂質の生成機作についてはほとんど不明に近いが,実験動物では放射線照射とかある種の麻酔剤投与により肝臓内の過酸化脂質が増加するとの報告がある.また,invitroの実験においては,肝ミクロゾームに局在するNADPH-cytochrome c reductaseによる脂質過酸化反応がよく研究されている.このほかいろいろのin vitroにおける実験結果からでは,各種の要因によって生成されたfree radicalがある濃度に達するとO2がそのradicalと反応して活性酸素となり,不飽和脂肪酸(二重結合が二つ以上持つもの)と連鎖的に反応し,ハイドロペルオキサイドをはじめとして,各種のペルオキサイドが生成されるものと考えられている.生体内における活性酸素としてはSuperoxide anionやH2O2及び一重項酸素などがあり,なかでもSuperoxideanionは生体内の幾つかの酵素—例えばNADPH-cytohrome c reductaseやXanthine-oxidaseによっても生成されるので,生体内における過酸化脂質の生成にはSuperoxide anionの関与が大きいものと推察されている.
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