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文献詳細

雑誌文献

検査と技術8巻9号

1980年09月発行

文献概要

技術講座 生化学

リン脂質の定量法

著者: 山本一夫1

所属機関: 1大阪中央病院中央検査部

ページ範囲:P.741 - P.749

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 臨床検査薬としてリン脂質(PLと略す)はカルジオリピン抗原,CCLF試薬,組織トロンボプラスチンなどに利用されている.血清リン脂質は他の脂質成分と同様蛋白質と結合した巨大分子複合体(リポ蛋白)として存在している.したがってその分析に当たっては,まず除蛋白操作を行い脂質を遊離させ,Folch, Bloorなどの有機溶媒で抽出して特異性を高める必要がある.それらの方法は大変煩雑であるため臨床検査の簡便性という点で酵素的測定法が多用されるようになってきた.酵素的測定法と言えども,コレステロールエステル,トリグリセライドなどリポ蛋白の内部を占める脂質成分はプロテアーゼなどの酵素で水解しておく必要があるが,遊離コレステロール,リン脂質など極性の強い成分はリポ蛋白の表層を形成しているので,直接的な酵素反応が可能である.
 リン脂質は単一のものではなく,グリセロール,スフィンゴシンなどにリン酸,含窒素化合物(コリン,エタノールアミン,セリン)などが結合した複合脂質の総称である直それぞれ構成成分の異なったリン脂質は生体内で異なった役割を果たしていると思われる.脂肪酸など非極性(疏水性)部分と塩基の極性(親水性)部分とから成る構造上の特徴及び塩基構成成分の違いがリン脂質の生体内における機能と役割に関係している.すなわち細胞膜構造(ミセル構造)を形成し,①細胞の保護と代謝,②物質の細胞内外への輸送,③リポ蛋白の代謝,④血液凝固などに関与している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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