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文献詳細

雑誌文献

検査と技術9巻1号

1981年01月発行

文献概要

おかしな検査データ

術後患者の電極法によるCl高値には御注意を!!

著者: 片山善章1 徳永賢治1

所属機関: 1愛媛大学医学部付属病院中央検査部

ページ範囲:P.65 - P.67

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 愛媛大学病院検査部では緊急検査を1976年開院当初からシステム化している.実施検査項目は,電解質を始め臨床化学検査13項目及び血球計数,血液ガス分析などである.これらの項目の検査はすべて器械で実施測定できるようにしている.例えば臨床化学検査量についていえば,試薬がパック方式で分析は全自動で実施できるDu Pontacaでほとんどの項目が測定できる.しかしNa,Kは炎光光度計,C1はクロライド・タイトレーターCMT10(ラジオメーター社)を用いている.またこの3項目は炎光光度計のダウン時を考慮してイオン選択電極法による3項目同時測定の電解質測定装置PVA-4(ホトボルト社,かつてはテクニコン社よりStat/Ionとして市販)を導入している.
 今回直面したおかしな検査データは,このPVA-4で測定を行ったものである.この患者の検査結果がNa138,K3.8,Cl120mEq/lと出たが,Cl120mEq/lがNa直とのバランスを考慮しても,理解に苦しむ高値の検査結果であった.念のためCMT10で確認測定を行ったところ103mEq/lであり,PVA-4がCMT10よりも17mEq/lも高値に測定していることになる.ちなみにPVA-4を導入するときにClについてはCMT10と患者血清100例について相関性を検討した際のデータをみると,r=0.987,y=1.01,x-1.4(x:CMT10,y:PVA-4)と極めて良好である,考えられることはイオン選択電極法によるCl測定は,Cl以外のハロゲンの影響を受けて正誤差を生じると報告1,2)されていることである.したがってCMT-10のほうが正しい値と思われるが,それを実証する証拠はなにもない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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