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文献詳細

雑誌文献

検査と技術9巻10号

1981年10月発行

文献概要

技術講座 生化学

無機リンの定量法

著者: 正路喜代美1

所属機関: 1埼玉県立がんセンター臨床検査部

ページ範囲:P.798 - P.803

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 リンは核酸やリン脂質,カゼインなどとして摂取され,腸管で加水分解され,HPO42-やH2PO4-となって吸収される.生体内のリン化合物の80〜90%は3・Ca3(PO42・Ca(OH)2(Hydroxyapatite水酸化リン灰石)として骨や歯など硬組織を形成し,骨格維持と代謝プールに備えている.血清中のリン化合物には,アデノシン三リン酸(ATP),クレアチンリン酸,ヘキソースリン酸,2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3・DPG),核酸などエネルギー代謝物質や,有機溶媒に抽出されるリン脂質,一部蛋白と結合している有機リンがある.これらの測定の有意性が認められているものもある.
 一方,酸に溶解する無機リンがあり,HPO42-,H2PO4-,Na2HPO4,CaHPO4,MgHPO4などの型で血漿中に存在し,リン酸緩衝系として他の電解質とともに酸塩基平衡に寄与している.血漿無機リンの93〜99%は腎の糸球体より排泄され,一部細尿管にて再吸収される.Naと結合しNa2HPO4として尿をアルカリ性とし,遠位尿細管付近でHの影響をうけてNaH2PO4となり尿を酸性化する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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