文献詳細
文献概要
おかしな検査データ
リン脂質の異常高値
著者: 橋本寿美子1
所属機関: 1虎の門病院臨床化学
ページ範囲:P.193 - P.194
文献購入ページに移動蛋白を疑い,この沈殿物の生理食塩水溶解液で電気泳動を試みました.図に示した泳動像の上は患者血清を,下は沈殿溶解液を泳動したもので,沈殿溶解液で血清にみられるslow-γ位のM蛋白とほぼ同位置に蛋白帯が見い出されました.さらに血清及び沈殿溶解液について免疫電気泳動を行い,血清でIgM(λ)のM-bowを認め,沈殿溶解液は,IgM(λ)と少量IgGである事が判明しまたた.以上により精製水により生じた濁りは,M蛋白と考えられます.M蛋白は日常検体のなかで,おおよそ0.2%の頻度で出現たます.他のIgG,IgAのM蛋白例については,上記の濁りが認められず,非親水性の,M蛋白の大量の存在により生じた濁りが,比色時に影響を及ぼしたものと推測されます.
掲載誌情報