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おかしな検査データ
リン脂質の異常高値
著者: 橋本寿美子1
所属機関: 1虎の門病院臨床化学
ページ範囲:P.193 - P.194
文献購入ページに移動 当検査室で,脂質のデータチェックを行っている際,リン脂質/コレステロール(PL/TC)比が,2.73という異常に高い値に遭遇しました.PL/TC比は,健常者群で0.9〜1.4,患者群でも,ほとんどが0.8〜2.1の範囲に入ります.この症例の検査データは,表1に示すとおりで,TTT及びZTTに異常を,そしてslow-γ位にM蛋白を認めるのみで,120 mg/dlのTCに対し,PLが328 mg/dlにもなる原因は考えられません.そこで,検体のとり違えを疑い,再検査を行ったところ,この血清は,検体採取時の精製水による希釈により,白濁を生じました.さらにPL測定用酵素試薬添加で,半透明な濁りを生じ,TC測定用酵素試薬添加で,精製水により生じた白濁が完全に消失するという現象が観察されました.その結果,PL/TC比の異常高値は,PL測定時に生じた濁りのためと分かりました.
蛋白を疑い,この沈殿物の生理食塩水溶解液で電気泳動を試みました.図に示した泳動像の上は患者血清を,下は沈殿溶解液を泳動したもので,沈殿溶解液で血清にみられるslow-γ位のM蛋白とほぼ同位置に蛋白帯が見い出されました.さらに血清及び沈殿溶解液について免疫電気泳動を行い,血清でIgM(λ)のM-bowを認め,沈殿溶解液は,IgM(λ)と少量IgGである事が判明しまたた.以上により精製水により生じた濁りは,M蛋白と考えられます.M蛋白は日常検体のなかで,おおよそ0.2%の頻度で出現たます.他のIgG,IgAのM蛋白例については,上記の濁りが認められず,非親水性の,M蛋白の大量の存在により生じた濁りが,比色時に影響を及ぼしたものと推測されます.
蛋白を疑い,この沈殿物の生理食塩水溶解液で電気泳動を試みました.図に示した泳動像の上は患者血清を,下は沈殿溶解液を泳動したもので,沈殿溶解液で血清にみられるslow-γ位のM蛋白とほぼ同位置に蛋白帯が見い出されました.さらに血清及び沈殿溶解液について免疫電気泳動を行い,血清でIgM(λ)のM-bowを認め,沈殿溶解液は,IgM(λ)と少量IgGである事が判明しまたた.以上により精製水により生じた濁りは,M蛋白と考えられます.M蛋白は日常検体のなかで,おおよそ0.2%の頻度で出現たます.他のIgG,IgAのM蛋白例については,上記の濁りが認められず,非親水性の,M蛋白の大量の存在により生じた濁りが,比色時に影響を及ぼしたものと推測されます.
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