文献詳細
文献概要
最近の検査技術
毛根を試料とする微量電気泳動法
著者: 荻田善一1 林和子1 岩橋寛治1
所属機関: 1富山医科薬科大学和漢薬研究所病態生化学
ページ範囲:P.261 - P.268
文献購入ページに移動しかし,培養によって細胞の酵素活性が変動することが多く,更にX染色体上の遺伝子の異常によってもたらされる伴性劣性疾患の女性保因者から得られた線維芽細胞は,正常と異常との2群のクローンの混合物である.また,培養中の細胞数により,酵素活性値が影響を受けることがあり,細胞分裂の定常期に活性が最も低く,対数増殖期に活性は対数的に増加することが知られているなど,問題点が多い.これに対して毛根は比較的採取が容易であり,培養の必要がなく,直接試料として用いることができるとともに,伴性劣性疾患の女性保因者から得られた毛根は,正常あるいは異常細胞クローンからのみ構成されている場合があるので,保因者の正確な診断が可能である.本稿において,まず遺伝性代謝診断における解析試料としての毛根の有用性について述べたい.
掲載誌情報