文献詳細
文献概要
おかしな検査データ
血餅退縮"0",血清分離不能の一例
著者: 上田尚紀1
所属機関: 1高知県立中央病院臨床検査科
ページ範囲:P.357 - P.358
文献購入ページに移動 およそ1年半前のことであるが,検査室で血清分離を担当していたものが,"変だな,1本だけ遠心しても血清のとれない検体がある"とつぶやいた.再度3,000rpmで遠心したが結果は同じであった.採血後約1時間経っているので凝固は完全に終了しており,本来ならば淡黄色透明な血清が分離されるはずであった.
ちょうどそのとき,今度は血液検査室から,"血餅退縮試験で退縮の全く見られない検体があり,血小板無力症でしょうか?"と連絡があった.調べてみると,先ほど血清の分離ができなかった検体と同一人のものであった.血小板無力症であれば血餅の退縮は全く見られないが,凝塊はもろく崩れやすいのが普通である.ところが本患者の凝塊は緊張性が強く,遠心しても振ってもfall out(落ちこぼれ)がなく,その解釈が困難であった.だからといって静観しているわけにもいかず,なんとか血清を分離すべく努力を開始した.
ちょうどそのとき,今度は血液検査室から,"血餅退縮試験で退縮の全く見られない検体があり,血小板無力症でしょうか?"と連絡があった.調べてみると,先ほど血清の分離ができなかった検体と同一人のものであった.血小板無力症であれば血餅の退縮は全く見られないが,凝塊はもろく崩れやすいのが普通である.ところが本患者の凝塊は緊張性が強く,遠心しても振ってもfall out(落ちこぼれ)がなく,その解釈が困難であった.だからといって静観しているわけにもいかず,なんとか血清を分離すべく努力を開始した.
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