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文献詳細

雑誌文献

検査と技術9巻6号

1981年06月発行

文献概要

技術講座 病理

病理組織切片のPAP法染色

著者: 古本勝1 岸本敦子1 浦野順文2

所属機関: 1神戸大学病理学第一講座 2神戸大学病理

ページ範囲:P.489 - P.492

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 Coonsらによる螢光抗体法の開発に始まる免疫組織化学的な検索方法の発展は,病理組織学の分野における研究及び診断に多大の進歩をもたらしただけでなく免疫学,内分泌学,及び免疫病理学の進歩にも重要な役割を果たしてきた.しかし螢光抗体法の技術的改良と応用が進むにつれて,この方法の持つ技術的な弱点を解消しうる新しい免疫組織化学的方法として,1967年Paul Nakaneらによって創案されたものが酵素抗体法である.すなわち,①永久標本として標本を保存できること,②ヘマトキシリン染色を行うことによって,抗原物質の局在と組織像との関係が詳細に観察できること,③クリオスタット及び螢光顕微鏡などの特殊な器具を必要としないこと,それに,④電子顕微鏡下に観察することが可能であること,などが酵素抗体法の持つ特徴であり,螢光抗体法より優れた点であるとされている.
 酵素抗体法は螢光色素の代わりに酵素蛋白(主としてペルオキシダーゼ)を抗体のマーカーとして用い,酵素蛋白の発色反応により組織内及び細胞の抗原物質の局在を,通常の光学顕微鏡もしくは透過型電子顕微鏡下に観察するものである.酵素抗体法においても螢光抗体法と同様に,標本内の抗原と結合する一次抗体に直接酵素を標識したものを用いる場合(直接法)と,非標識一次抗体と抗原とを結合させ,次に一次抗体と結合する二次抗体に酵素を標識したものを用いる場合(間接法)とがある.この間接法の変法の一つがSternbergerのPAP法(peroxidase-antiperoxidase immune complex method)である.ここに我々が日常実施しているホルマリン固定パラフィン包埋材料についてのPAP法の詳細と,実施上の留意点を紹介したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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