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文献詳細

雑誌文献

検査と技術9巻6号

1981年06月発行

文献概要

マスターしよう基本操作

免疫補助物質の種類とその作り方

著者: 山本昭夫1 山屋駿一1

所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌第二部

ページ範囲:P.501 - P.508

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 いろいろな抗原により動物を免疫する場合,ある物質を添加し生体に注射すると抗体産生を増進することがある.このように抗原と混合して同時に,または一定の間隔をおいて生体に注射すると生体の免疫反応を増強する効果のある物質を,免疫補助物質(以下アジュバント)または免疫助成剤(immunologic adjuvant)と呼んでいる.しかし,このようにアジュバントは初めは抗体産生を増進するものといわれていたが,生体の免疫応答の様相が明らかになるにつれて,その定義も拡大されて,細胞性免疫の増進,アレルギー性疾患の誘導,あるいはインターフェロン産生誘導なども含まれるようになった.また,アジュバントはその種類,及び用法などの条件によって単に免疫応答を量的に増強するだけでなく,生体の免疫応答を抑制したり,または産生される抗体のクラスを規定したり,多彩な作用を示すことが明らかになって来た.したがって現在ではアジュバントという概念は免疫応答を修飾するものというように拡大されている.しかし,ここでは通常蛋白抗原,例えば血漿成分,毒素及び酵素などの抗体を作る場合に最もよく利用されているFreundアジュバントとアルミニウムアジュバントの作り方を述べる.これらのアジュバントの特長は抗体産生能が高く,産生期間が持続し,投与回数が少なくてすむなどの利点がある.アジュバントの作り方は極めて簡単な操作であり,熟練とか特別な技術は要しない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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