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文献詳細

雑誌文献

検査と技術9巻7号

1981年07月発行

文献概要

病気のはなし

早期胃癌

著者: 加藤洋1 柳澤昭夫1

所属機関: 1癌研究会癌研究所病理

ページ範囲:P.528 - P.534

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 日本は世界で最も胃癌の発生率が高く,死亡率も高い.1977年の統計によれば,1年間に悪性腫瘍で死亡した人は約146,000人であり,そのうち胃癌死亡者は約50,000人,胃癌は客種悪性腫瘍のトップを占めている.最近,日本人の胃癌死亡率が低下しつつあることが示され,これが第二次世界人戦後の日本人の食生活の変化(西欧化)によるものであり,胃癌の発生率そのものが低下しているためであると推察されている1).しかし,戦後の我が国における胃癌診断学及び治療学の進歩はめざましく,これにより胃癌死亡率の低下がもたらされたことも事実である.特に,1962年,日本内視鏡学会において,治る胃癌として"早期胃癌"という概念が確立され,その肉眼的特徴が整理されてから後は,早期胃癌症例の発見率は日本全国のどの施設においても向上している.癌研病院における全手術胃癌症例に対する早期胃癌症例の頻度も,1950年代では数%から7,8%にすぎなかったが,1960年代後半には25%に達し,1970年代になると30%を越えるようになった2).ここでは,早期胃癌とはどのような胃癌であるか,また,早期胃癌を通じて理解されてきた胃癌についてのいくつかの問題点を紹介してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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