公衆衛生1巻2号

1946年11月発行

原著

ウイダール反應檢査術式に就て—第一回報告（國際法・國内法の比較）

著者： 增山忠俊¹² 乘木秀夫¹³

所属機関： ¹帝大傳染病研究所第四研究部 ²帝大傳染病研究所 ³厚生省衞生試驗所

ページ範囲：P.107 - P.115

諸言
　從來，我が國に於ける，ウイダール反應檢査術式は，各研究室，各病院等に於て，誠に區々たるものであつて，一定の協定法無く，從つて其の結果に於ても．當然多少の差異がある筈で，病症の診斷乃至防疫の處置を與へるに當り，可成りの混迷があつた。
　昭和21年5月，厚生省より，ウイダール反應檢査指針^（1）が標準法（Standard Method）として制定公布せられた。茲に標準法とあるは，最良最適の方法と云ふのではない。多數の相似たる方法の中の或る一つを採用せよと指定したのを意味する。これは特に新規なものでなく，現在諸家が行つて居る方法其の儘を承認したに止まり，歐米のそれと比較するのに，その間，若干の相違が認められる。茲に著者は，厚生省のウイダール反應檢査指針，及び現在我が國に於て行はれつゝあるウイダール反應術式に檢討を加へることゝした。