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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生1巻2号

1946年11月発行

文献概要

論述

此の冬流行を豫想せらるる傳染病及び其の對策

著者: 柴山知輝1

所属機関: 1厚生省豫防局

ページ範囲:P.128 - P.137

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緒言
 凡そ傳染病の發生は國民生活の緒樣相と密接なる關聯を有するものである。衣食住生活の混亂は何れも直接間接,傳染病多發の因をなすものである。昨年8月終戰と共に我が防疫界は戰時防疫より戰後防疫に移り行つたのであるが,之に依て戰時生活に隨伴した防疫上の惡條件の中,あるものは去つたが又あるものは繼續せられ,しかのみならず増強さへせられた。更に戰後新たに付け加へられたものもある。勿論現在,戰後の生活に見らるゝ諸事象と雖も總て傳染病の多發を招來するものばかりではなく,寧ろ防疫の立場より見れば願はしいものさへあることを見逃せない。併し總體的に之れを見るならば從前に増した不良なる状態と云はなければならない。
 斯くして戰後の防疫は戰時中より一層多難な道程を辿らなければならなかつた。戰後の惡い諸條件の中,特に擧ぐべきものは國内交通量の混亂した増加,衣食住の不潔非衞生,海外傳染病發生地よりの復員歸還等である。之等の諸條件は,我が國平時從來の衞生状態や國民の生活習慣等と相俟つて今日の記録的な傳染病發生状況を規定して居るものと考へられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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