icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生1巻3号

1946年12月発行

文献概要

論説

豫防醫學管見

著者: 小島三郎

所属機関:

ページ範囲:P.201 - P.205

文献購入ページに移動
治療より豫防へ:
 大正の中頃,筆者のまだ年少氣鋭の時,東京朝日新聞の學藝欄に『治療より豫防へ』の題下で3日連載で,謂ふ所の公衆衞生に關し,強く國民に訴へた事がある。日刊紙にはよくある例とて,筆者も江湖の先覺者(良く云へばさうであり,又た觀方によれば閑人或は物數奇人)から激勵の多くと,椰揄の少こしとから成る書面を戴いた。筆者はこの『讀者の聲』を國内有識層の願望と解して,一層豫防醫學に精進するの決意を強くした。戰災で全燒して寄稿の内容を確める途がない今日でも,あの文章の全部を,改めて世に訴へても,もはや陳奮だと嗤はれる筈がないと信ずる程に,我國の公衆衞生の進歩は遲々たるものであつた。遲々たるものではあるが,今更ら公衆衞生の任務などを述べたてる時代ではない。どんな事柄が豫防醫學であるか,どんな事をなすべきかを論議する時ではない。何をなすべかりしか,どんな施策を怠つてゐたかを檢討すべき筈であらう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら