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東京の蠅
著者: 佐藤孝慈1 飯田鈴吉1 加納六郞1
所属機関: 1傅研,衞生動物研究室
ページ範囲:P.60 - P.64
文献購入ページに移動人畜衞生上重要な害虫である蠅類の研究は,日本に於ては研究者が少かつた爲に,他の領域より立遲れていた。此の間孤軍奮鬪してこられたのが小林晴治郞博士で,其の業績は大なるものがある。最近堀及び當教室員によつて分類,生態の研究が進められ,日本の蠅の研究も,他の領域と足並を揃える樣になつた。蠅という言葉は色々の意味に用いられていて,廣い意味では分類學上双翅目の環縫亞目に屬する昆虫を指し,其の中には衞生上有害のものの他に果實,農作物に害を與えるものや,直接人類と關係を持たぬものも含まれ,日本だけでも其の種は數千に及んでいる。今こゝで問題とする蠅は,狭い意味で,人畜衞生上有害なものゝみを扱うことゝする。その種は堀,加納等によつて日本において約70種が明かとなり,そのうちの80種以上が東京附近に存在する。その種名は第1表の如くである。
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