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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生10巻4号

1951年10月発行

雑誌目次

主張

今後の行政改革

著者: 野津謙

ページ範囲:P.146 - P.146

 國民體力の向上を目指して,昭和13年に厚生省が創設せられて以來,我が國の厚生行政は著しく進展し,殊に終戰後進駐軍の指導を得て,公衆衞生方面に非常な努力が拂われた。都道府縣には保健衛生の局部が確立せられ,末端機構としての全國七百有餘の保健所は着々整備せられ,結核,急性傳染病の死亡率,乳兒死亡率の減少等色々な面に著しき效果を擧げている。
 このたびの明るい講和が,われわれに自主獨立の立ちあがりを要求している今日,今後の我が國厚生行政の發展を期するには,今日の公衆衞生活動の現實内容を反省し,その缺陥を補正するために,全醫界が之に關心を持ち,夫々日常の仕事を通して公衆衞生活動に奉仕する必要がある。而して我々醫師は,民衆と結び付き,社會の民主化運動に貢献し,健康な社會生活を打樹てなければならない。

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アメリカ公衞生協會の活動

著者: 齋藤潔 ,   佐藤德郞

ページ範囲:P.147 - P.151

 著者の一人はNew Yorkでアメリカ公衆衞生協會の理事長であり,舊友であるDr.Atwaterに面接の機會を得,協會の歴史と事業内容に深い興味を抱いた。
 アメリカ公衆衞生協會は本據をNew Yorkにおき,支部を各所に訪けていうが,その事業内容は日本においては充分紹介されていないきらいがあつた。その事業内容と活動の方向を知ることにより,我々は多大の示唆を受けるところがある。

肢體不自由兒の問題

著者: 小池文英

ページ範囲:P.152 - P.153

1.公衆衞生との關連
 肢體不自由兒の對策は專ら社會福祉の領分であつて,公衆衞生とは隔絶した問題である,という誤まつた考え方が從來ともすれば見受けられたようであつたが,最近ようやくこうした誤解がとけ本來の軌道に乘つて來つつあるのは欣ばしい。
 肢體不自由症の原因のうち主なものを擧げると小兒マヒ,骨及び關節の結核,先天性疾患,腦性マヒ,不慮の傷害,骨髄炎,クル病,などであうが,これらの原因は概ね公衆衞生の第一の目標たる疾病豫防と密接なつながりを有する。例えば,小兒マヒは急性灰白髄炎の後遺症であつて,原疾患は最近法定傳染病指定の可否をめぐつて公衆衞生上に大き話題を投げかけている。骨及び關節の結核の問題は結核對策の一環とも考えられるものであつて,結核死亡中,呼吸器系,髄膜及び中樞神經系,腸膜系などの結核についで第4位を占めている。米國においては結核對策の普及に伴つて最近は著しくこの種の結核が減少していることは周知のとうりである。先天性疾患(先天性股關節脱臼,内反,足斜頸など)については,その發生を未然に防ぐことは現段階においては不可能であるが,併し出生後早期に適當な治療を施せば短時日で完全に治癒する。即ち第二次的な豫防(肢體不自由兒にならないですむ)が可能である。

結核の管理

著者: 千葉保之

ページ範囲:P.154 - P.158

 結核の管理とは,終局のところ,患者の鍛を減らすことにあります。患者を見つけ,その措置にだけ終ることではありません。それは,既に管理以前のものであります。治療は元來が,患者の生命を救うという特別の意味をもつものであつて,直接には,結核撲滅を目標としておりません。何となれば,その豫防的意味は,一部の開放性患者を閉鎖性にするぐらいのことで,隔離にも,勞働力の回復にも,まことに貧弱であるからです。所詮,治療と豫防は,それぞれ獨立した使命をもつものであり,一を以て他に代えることは,できません。この豫防を中心としたものが,即ち管理というものであります。健康診斷,豫防接種,保健指導,早期治療,隔離等の一連の仕事を集團的に一元化して運用し,能率的に患者の發生を防ぎ,その数を激減していくことこそ管理の主體であります。治療の單なる延長では,ありません。治療部門の一部のような現状から,速かに脱却されることなくしては,百年河清を待つに等しいものでありましよう。從つて,結核の管理は,豫防技術の組織的活動を中心とした機關を確立して,主體となし,保健指導所,療養所,病院,後保護所を附屬させ,これらを統一的に豫防の線に沿うて運用することを立て前とします。もちろん,對象集團の規模によつて,それらの管理機關も,自ら統合されねばならないでしようし,從事する職員,ことに,技術の交流を圓滑に企ることも,必要ではあります。

性病蔓延の機序

著者: 宮入正人

ページ範囲:P.160 - P.162

性病蔓延に關與する要因
 傳染病の蔓延には傳染源,感受性者及びこれら兩者の接觸機會,3者の存在が不可缺の條件であるが,更にこれ等は自然的,社會的條件の支配をうけて,各疾病固有の疫學現象を生起する。
 性病蔓延にあづかる3要因の特性は……傳染源:病原體たるTr.Pallidum,淋菌,軟性下疳菌,及びそけいりんぱ間芽腫Virusは,自然的條件の下に於て,人體のみに寄生して病原性を發揮する事,人體外における抵抗が極めて弱い事,更に排菌路が主として性器病巣である事,がその主なる共通の性状である。從つて性病の傳染源は患者であり,自然的傳播線或は傳染源と感受性者との密接々觸(性行爲)と云う極めて特異な形式をとる。

第1回東北地方公衆衞生學會抄録

ページ範囲:P.163 - P.175

 本年6月10日,仙臺市,東北大學醫學部中央講堂において第1回の東北地方公衆衞生學會が開催された。會の次第は極めて多彩のものであつて,午前9時,東北大學公衆衞生學教室の瀨木教授の開會の辭に始まり午前中は一般演題に績いて厚生省の山口公衆衞生局長の挨拶,同局の館林防疫課長の「防疫行政上の問題について」と題する主として赤痢防疫に關する興味深い講演があり,又わざわざこの會の爲に御出席下された志賀潔先生が演壇に立たれて,これ迄歩み來られた道を回顧談風にして含蓄の深い話を述べられ,満堂の聽衆に與えた感銘は深いものがあつた。又午後は黑川東北大學醫學部長,古賀宮城縣醫師會長の挨拶に績いて厚生省統計調査部顧問,渡邊定博士が特別講演として「日本人の壽命と疾病」の演題の下に豊富な題材を紹介し,博士獨特のユニークな研究成果を發表されて聽衆に稗益するところ多大のものがあつた。次いで再び一般演題のあつた後,本會運營に關する協議會に移り,鈴木秋田縣衞生部長等から色々の提案がなされた。午後4時半,泉田宮城縣衞生部長の閉會の辭を以て會を閉ぢ,その直後有志が食堂に集まり晩餐を共にしつつ打ちとけた懇親會を持つた。
 何分にも第1回のことであり,準備も充分とはいえなかつたが,一般演題は20を超え,しかも大部分が保健所職員であつたことから云つても,公衆衛生の學問の面と實踐の面の協調に幾分かでも役立つたのではないかと考えている。

副腎皮質ホルモンとそのノーベル賞受賞

著者: 松岡脩吉

ページ範囲:P.155 - P.155

 1昨年から昨年にかけて,公衆衞生院の外國雑誌を渉獵しているうち,副腎皮質ホルモン,それを誘き出す腦下垂體前葉ホルモン(ACTH),それからこれ等兩ホルモンの注射によるリユーマチ關節炎の治療に關する研究報告が特に目につき,ことに1昨年New Yorkで開かれたリユーマチ性疾患第7回國際學會の記事の一部を見たとき既にこれはノーベル賞ものだと實は感じたのであつた。昨年湯川さんが歸國された直後でもあつたので,ある席で私どもの疲勞調査のことから,腦下垂體副腎系統の話に及んだとき,ついノーベル賞受賞のことにまで話が飛んで,3人の受賞を豫言めいたアテ推量でいったところが,1ヵ月と經たぬ間にそれが事實となったのであつた。
 Reidhsteinにしても,Kendallにしても,副腎皮質の産生するいわゆるコルテイコイドの化學的な面で輝かしい仕事をした人であり,後者はHenchその他のメーヨークリニクの人々と共に,コルテイコイドの一つであるコルテイゾン或はACTHにょるリユーマチ關節炎の治療に劇的な效果を確定した1人でもある。Henchは,外科手術・饑餓・異種蛋白にょる發熱・妊娠・黄疸などの場合,リョーマチ關節炎の輕快することに注目し,これが内分泌機能の攣調と關連していることを考えた。そしてACTR或はコルテイゾンとして高度に純化されたものをしかも大量患者に使用し事柄をはつきりさせたのである。

第4回衞生教育サンマースクーリング

ページ範囲:P.176 - P.176

 去る8月21,22,23の3日間岡山縣下の景勝地,鷲羽油麓に行われた厚生省主催第4回衞生教育サンマースクーリングは,全國各地から200名を超える參集者を迎えて,盛會裡に幕をとじた。
 このサンマースクーリソグが,相當の前人氣を呼んでいたとすれば,その理由としては第一に,この催が相當に回を重ねた。その恒例としての親しみ,次は,前公衆衞生局長三木行治氏を知事にいただいている岡山縣への魅力,つまり三木さんの温い心づかいに觸れて少し甘えて見たいような氣持,更に第三の理由は,講師の顔觸れが,大向に對してスターバリウを持つている點であると申したら失禮であろうか。かたや衞生教育行政の鬼ともいわれる楠本部長,かたや醫學評論家として肩書も箔のついて來た石垣純二先生。加うるに公衆衞生院から,滋賀部長アメリカ土産の豊富な專門知識をたずさえて,楠本,石垣御兩所のとめ男にもなられようという,スタフは正に満點であつた。まず研究發表について見ると,この形式をサンマースクーリングで試みたのは,今回がはじめてであり,事前興味と併せて幾分の不安もあつた模樣であるが,蓋をあけて見ると,全體としてはなかなか充實したプログラムとなつた。

第6回日本公衆衞生學會について

著者: 吾妻俊夫

ページ範囲:P.151 - P.151

 第6回日本公衆衞生學會を下記により開催致すことになりましたので,奮つて御演題を御申込下さい。
1,名稱第6回日本公衆衞生學會

第8回 厚生科學研究會總會

ページ範囲:P.175 - P.175

月日 昭和26年11月4日(日)5日(月)
場所 國立公衆衞生院大講堂(東京都芝白金台町 都電 日吉坂上 國電 目黑驛)

時評

その後の勞働衞生

著者: 勝木新次

ページ範囲:P.159 - P.159

 日本が國際經濟界へ復歸するに際して,各國は日本の勞働條件に深い關心を示している。日本のILOへの参加も遠からず實現すると期待せられている。このような情勢下にあるだけに,私共は勞働基準法施行後4年間における我國の勞働衞生の歩みを回顧し,しつかりした今後への展望を持ちたいと思う。
(a)作業環境條件。この4年間に作業場の環境條件は確かにある程度改善された。荒廢していた化學工業の諸施設も整備されて來たし,鑛山の粉塵問題のように改善への研究的努力の見え始めたものもある。照明についての關心も深まり,螢光燈の普及,Color Conditioningの試みなども注目される。この種の改善を促した動機として,基準法の實施,組合運動の勃興も重要なものであるが,産業合理化の見地から勞働衞生に着目する傾向も一部にあらわれ始めたことを注目したい。そして技術者の作業環境條件に對する關心は確かに戰前より高まつて來たといつてよい。一歩を進めてSanitary Engineerが多數出現することを期待したいと思うが,とにかく經營と醫學との結合の崩芽が見え始めたことは重要で,勞働衞生に携わる者は,科學の武器を一層鋭利にしてこの氣運をたかめるように有效な活動をしなければならぬと思う。一部にはまだ基準法の緩和を強く主張する經營者もある。勞働條件の適正化こそが勞働の生産性をたかめる所以であることについて,もつと啓蒙も必要である。

研究報告

人系A'型インフルエンザ・ビールスによる豚の實驗感染について

著者: 甲野禮作 ,   芦原義守 ,   松本稔 ,   淸水武彦 ,   岡崎和夫

ページ範囲:P.178 - P.180

1.まえがき
 豚が人系インフルエンザ・ビールス(イ・ビ)PR 8株に感受性を有する事實はすでに1936年Shope, Francis1)等によつて實驗せられている。然し1930年にShop2)ぶIowaで分離した豚・イ・ビは人のイ・ビAと共通抗原を有するとはいえ,可成り免疫學的に離れたものであつた。1939年釜山に於て越智宮入3)は1株の豚イ・ビを,分離したが,最近Francisは越智株が,人のA'型ビールスと免疫學的に同一であることを明らかにした4)。我々は昨年豚,牛,犬,馬,緬羊等の血清中に特に人系イ・ビA'型FM1株に對する抗體の存在することを知つた。これ等のことからA'型イ・ビが廣く人畜共通の病原として關與するのではないかと考えられ,又近年に於けるイの流行はA'型に起因するものの多い事實もあり,5)6)表題の示す樣な實瞼を試みた。

日本往血吸虫に關する研究Ⅱ

著者: 横川宗雄 ,   佐野基人 ,   田中利男 ,   新井照夫 ,   田島嘉雄

ページ範囲:P.180 - P.181

 さきに私共(1950)は各種の家畜(馬,騾馬,牛,緬羊山羊)等に本吸虫セルカリアを實驗的に感染させた場合本吸虫卵の糞便内排出状況及びその他の臨床症状が,馬屬と他腫家畜では著しく相異のあることを報告した。即ち牛及び山羊,緬羊等では馬屬よりは遙かに少い本種セルカリアの感染で,多數の虫卵を長期に亘り糞便内に排出し,相當激烈な症状を呈するに反して,馬では25.000〜50.000の多數のセルカリアを感染させても,さして著明な症状を認められなかつた。只これまで馬では虫卵を糞便内に排出しないと云われていたのに反して,かくの如き濃厚感染の場合には虫卵を排出することが認められたがその排出期間は,感染後52〜92日迄の約40日の短期間に過ぎなかつた。このように馬屬と他種家畜では著しい相異が認められるので,一度本吸虫に感染させ短期間ではあるが本虫卵の排泄を確認し得た馬が再感染に對し如何なる態度をとるかを知るために實驗を試みた。

P-nitrophenyl phosphateを使用する牛乳phosphataseの定量及び臨地試驗法

著者: 山下哲生 ,   笠井金盛

ページ範囲:P.181 - P.183

 牛乳及び乳製品が確實に低温殺菌されたかどうかを判定することは,牛乳衞生上しばしば必要になる。この目的に種々の酵素の熱不活性を利用する試案が出されたが現在最も確實且簡便な判定法としてフオスフアターゼ酵素の有無をしらべるフオスフアターゼ試驗が推奬され,アメリカでは廣く一般に行われている。實際フオスフアターゼは61.7℃30分の加熱で大部分破壊され,62.8℃30分で完全に不活性化すると言われ,加熱不活性の條件が低温殺菌の條件と殆んど同一である點,本目的に對する應用意義が大きいのである。我が國では試藥の關係で實施されてなかつたが,厚生省令(昭和25年10月16日厚生省令第58號公布)に新しい市乳,特別牛乳,殺菌山羊乳の規格の一つに,フオスフアターゼ陰性と記載され,當然實施すべき必要にせまられることとなつた。
 牛乳フオスフアターゼ試驗の基質即ち燐酸エステル中フエニール燐酸エステルを使用したScharerの定量法臨地簡便法はアメリカニューヨーク州の標準法であり既に日本にも招介されている1)。しかし試藥の種類が多くその調製が可成り手數を要し,又試驗室で普通使用するフエノールの微量混入で判定を誤る危險がある等改良を要する點がある。

公衆浴場の汚染度及び配豊の基準に就て

著者: 中村廣夫 ,   河島俊一 ,   新開齊治 ,   弓削淸一郞 ,   松島秀一

ページ範囲:P.183 - P.187

 最近公衆衞生の進歩に伴い一般大衆と密接な關係に置かれて居る公衆浴場の施設も逐次改善され從前の如き非衞生的なものは最早や影をひそめつゝある現況で喜ばしき次第である。浴場の汚染度に就きては比較的古くより調査研究行なわれ(昭和3年吉岡朝次,昭和16年佐藤國治,昭和23年大園,坂本,昭和25年公衆衞生院等)浴水の汚染度を防ぐ方法として浴槽の換水,浴槽洗滌の徹底及入浴者個々に就ては身體の充分なる洗滌後浴槽に浸ること及身體の摩擦,洗滌等は浴槽外に行うことを強調し之と同時に浴槽の汚染度は入浴者の増加に伴い惡化して行く故公衆浴場の「配置の適正」は飽く迄公衆浴場利用者密度により計られねばならぬとして居る。此の配置の適正に關しては何人もその必要性を感じながらも今日迄その基準ともなるべき科學的資料の見るべきものがない此の點に就き我々は特に注目を引き今回浴場の汚染度を試驗すると同時に利用者の住所年齢職業及浴場周團の人口數並に個人風呂と此れを利用する家族數を詳細に調査した結果,現在定められて居る浴場の距離制限が果して妥當なりや即ち「配置の適正」を得て居るかに對し或る基準を得たので多少なりとも公衆浴場設置上の參考となれば幸甚の至りである。

醫藥隨想

親の悲哀

著者: 宮川米次

ページ範囲:P.188 - P.191

 生きんがための戰,Kampf. ums Dazeinは,生物界の通則だ,この戰のためには,往々に相手方をいためっける結果になるのも亦自然の歸結とでもいうてよいであろうか?。數日前(26. 8. 7)の新聞には,模範巡査であった南久雄氏(45)が,遂に不良の二男久俊(19)を絞殺したときの心情を物語って居る。涙なくては到底讀まれなかった。これに對し作家の新居格氏はなぜ早く感化院の世話にならなかったかというているが,ここに割り切れない親子の情があり,親の悲哀があり,又反面には模範巡査という職業が思い切ってこれを斷行させなかったとも思う。勿論職業柄,そのようなゆき方を知らなかった筈はない,然るになんとかして眞人間にしたいと願って,自から巡査という堅苦るしい職を離れ,加うるに退職の際にうけたなけなしの金を割いて,わざわざ離れ座敷の別室迄もしっらえてやり,多くの他の兄妹の間に氣まずいおもいをさせまいとの思いやりまでしたのに,遂にはこの新設の部屋で,酒にくるい,暴れ廻って母を追う極道が,度重るに至り,昨日というきのうは,見るに見兼ねて十手で一撃,とうとう絞殺してしまったというのである。これこそ本當に可愛さあまって,にくさ百倍とでもいうべきものであろう。私はこの不幸に一生を終った久俊なるものを,醫學的にながめて見たい。それはこれに類する悲劇が,今日此の頃決して少くないからである。

公衆衞生學教室めぐり・8

大阪市立醫科大學

著者:

ページ範囲:P.172 - P.172

 大阪市の玄關,大阪驛から東に約10分歩けば大阪市立醫科大學に達する。大阪水泳プールと隣合せの閑静な所であるが,ここは假校舎で基礎醫學教室だけが置かれ,この建物の3階に衞生學・公衆衞生學教室がある。こり大學の特長として,講座制をとらずに教室制をとり,學内では公衆衞生學とだけ稱して,この内に3教授が存在し,2教授は衞生學,公衆衞生學部門を,1教授は醫動物・寄生虫學部門を擔當している。
 本大學はまだ歴史が淺く,堀内一彌主任教授を迎えたのは3年前のことであった。堀内教授は慶大草間良男教授の高弟で,同大學助教授兼醫專教授であったが,木下良順前學長に囑望されて當教室の主任教授として迎えられた。その後大阪市生野モデル保健所長瀧内秋治教授を迎え,近々3ヵ年の間に當教室は教室員30名を數えるにいたった。

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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