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肢體不自由兒の問題
著者: 小池文英1
所属機関: 1厚生省兒童局母子衞生課
ページ範囲:P.152 - P.153
文献購入ページに移動肢體不自由兒の對策は專ら社會福祉の領分であつて,公衆衞生とは隔絶した問題である,という誤まつた考え方が從來ともすれば見受けられたようであつたが,最近ようやくこうした誤解がとけ本來の軌道に乘つて來つつあるのは欣ばしい。
肢體不自由症の原因のうち主なものを擧げると小兒マヒ,骨及び關節の結核,先天性疾患,腦性マヒ,不慮の傷害,骨髄炎,クル病,などであうが,これらの原因は概ね公衆衞生の第一の目標たる疾病豫防と密接なつながりを有する。例えば,小兒マヒは急性灰白髄炎の後遺症であつて,原疾患は最近法定傳染病指定の可否をめぐつて公衆衞生上に大き話題を投げかけている。骨及び關節の結核の問題は結核對策の一環とも考えられるものであつて,結核死亡中,呼吸器系,髄膜及び中樞神經系,腸膜系などの結核についで第4位を占めている。米國においては結核對策の普及に伴つて最近は著しくこの種の結核が減少していることは周知のとうりである。先天性疾患(先天性股關節脱臼,内反,足斜頸など)については,その發生を未然に防ぐことは現段階においては不可能であるが,併し出生後早期に適當な治療を施せば短時日で完全に治癒する。即ち第二次的な豫防(肢體不自由兒にならないですむ)が可能である。
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