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最近のスポーツ生理學の研究
著者: 猪飼道夫1
所属機関: 1お茶の水女子大學體育生理學教室
ページ範囲:P.195 - P.199
文献購入ページに移動體育で行う身體運動は身體を通しての教育という目的を持つて設計され,指導されている。これに對してスボーツはその起源を異にし人間のplayの要求のあらわれといわれる。しかがつてスポーツは必ずしも體育的に有意義とは限らず,健康を害することさえ見られている。體育の方法としての身體運動は多くはスポーツの樣式をとり入れている。その理由の一つとして考えられることは,スポーツが人間本來の要求によるものであることから,その樣式を採用することが人間の肉體的及び精神的に適合すると推定されることである。スポーツが人間の活動力を高め,社會性を増すことに有利であると言われるが,スポーツの存在價値は,體育的に用いられてはじめて一段と高められるものであり,健康の保持,増進に役立つことが第一條件である。
こゝに私見を述べるならば,疾病人を對象とするものが醫學であるならば,人間の環境をよくする分野が公衆衞生學であり,健康人の體力(身體的精神的能力)を保持,増進する分野を分擔するものが體育學であると考えられる。スポーツは體育學以前のものであるが,近代のスポーツは體育的に處方され,體力に應じて與えられなければならない。そのためには諸種のスポーツの身體に與える生理學的攣化を検索し,性及び民族と年令に應じた最適の強度のスボーツの種目を選定するように進められなければならない。
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