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研究報告
傳染性下痢症の疫學的考察
著者: 操坦道1 山田弘1 西村勇1 高橋明利1
所属機関: 1九州大學醫學部第一内科教室
ページ範囲:P.35 - P.39
文献購入ページに移動本症は特異な水樣下痢を主訴とするビールス性疾患であつて,昭和23年以降我國各地においてその流行が注意される樣になつた。1)2)3)
私共も昭和23年福岡縣で始めて本症の流行を經驗し,篤志家を募つて感染試驗を行い,病原體がビールスであることを確認し,病原並に臨床像その他について觀察を行つた4)。その後も全國各地に本症の流行が繰返されており,多くの研究者によつて詳細な報告がなされている。福岡縣内でもその後昭和24年,26年に本症の流行があり,私共は縣衞生部,現地保健所及び現地町村の方々の熱心な御協力を得て,その疫學的調査を行うことが出來た5)。他方私共の意圖をよく理解して呉れた本學醫學部及び專門部學生並びに一般の篤志家に對して接種試驗を行い,それが傳染性下痢症の流行であることを確認するとともに,それの臨床像,免疫性本ビールスの抵抗性等について檢することが出來た。本症の疫學については既に多くの研究が發表されているが,6)こゝではたゞ私共が今迄に得た成績にもとずいて,二,三の疫學的考察を試みてみようと思う。
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