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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生11巻2号

1952年02月発行

雑誌目次

特集號 第6回日本公衆衞生學會

一般演説

著者: 加藤光德 ,   竹内英一 ,   金井淸志

ページ範囲:P.15 - P.112

第1會場
第1日
101)長野縣における結核患者の一齊調査について(第1報)
 現在結核患者數把握の方法としては發生屆と死亡時の人口動態調査表によつてわかるようになつており,又年間死亡者數の約10倍を推定數とされているが近時豫防醫學並に結核治療醫學殊に化學殊法外科療法の進歩によつてこの1〜2年急激にその死亡數の減少を來し且つ又未だ發生屆も仲々勵行さ泊ない現状であり,その發生状況は從來の方法を以つてしては把握が困難且つ不正確であると考えられるにいたつた。加うるに結核患者の發生,治癒,死亡更に之に伴う患者の集積等の動的變化を完全に把握することこそ結核豫防行政の根本であり,特に本年は新しく結核豫防法の施行された年でもあり,各保健所における結核患者臺帳整備こそ新結核豫防法施行の第一歩であることを考え,縣下一齊に結核患者の實態調査をなすことを計畫し,本年度はその第1回目として本年1月に基礎的粗調査をなし,次で6月1日一齊に患者の實態調査をなして一應その目的に沿うところの成績が得られたから報告する。
 1.6月1日現在縣下の結核患者數は約11667名にして本縣人口萬對56名である。

特別講演

公衆衞生より見たる寄生虫の諸問題特に寄生虫檢査法のそれについて

著者: 小宮義孝

ページ範囲:P.13 - P.14

 寄生虫豫防の問題は,根本的に見れば,屎尿の完全な處理法の實現にある。しかし人屎尿が農村經濟上いまだ重要な窒素源としての役割をつとめている本邦においては,これを使用しないわけにはいかない。そこで屎尿中の寄生虫卵を,これを使用するにさきだつてあらかじめ殺滅することを考える必要があるが,現在のところ,實際的に用いられるような化學的な虫卵殺減剤はまだ見いだされていない。厚生省改良便所はこの目的のため創案されたものであつて,その適切な使用と管理とを行えば相當な効果を擧げうるものではあるが,經費その他の點で充分に普及しがたい點がある。堆肥による處理によつて,屎尿中の蛔虫卵は完全に殺滅しうるが,鉤虫仔虫に關してはなお疑問があり,また一方,農地解放の結果,有畜農家經營が盛になり,この場合の堆肥製造法の變化を考慮に入れるときは,これも直ちに機械的に廣く實地に行わせる點にも可なりの困難がある。屎尿分離方式による處理も考えられているが,尚お試驗範圍のものとして止つている。
 第2に考えられる問題は,集團驅虫の勵行である。驅虫は元來治療的な措置ではあるが,これを集團的に遂行することにより,豫防的な効果をも期待しうる。しかしこの場合には,第1に寄生虫保有者の檢査技術,第2に各種驅虫剤の選擇およびその使用法,第3に驅虫の時期とその頻度等の如何が,それぞれ重要な問題となる。がここでは,主として寄生虫檢査,とりわけ蛔虫と鉤虫のそれについて述べる。

研究報告

衞生教育に關するグループダイナミツクスの應用的研究について(第1報)

著者: 淺野幸子

ページ範囲:P.113 - P.114

 衞生教育においては,集團の知識度や實行度を高めるのが目的である。從來は,これ等の問題を常識的に處理し,必らずしも科學的な研究に基いて行われていなかつたうらみがある。
 そこで,このたびグループダイナミツクスを應用して集團指導の科學的基礎を得たいと考えて,研究を始めたのである。

鹿兒島縣に於ける中學校高等學校女生徒の月經調査

著者: 齋藤マサ

ページ範囲:P.114 - P.118


 月經に關しての研究は,古來多くの調査發表があり,その中でも初經年令や,之を左右する諸因子に關する研究は度々發表された所であるが,私は日本本土の最南端に位する鹿見島縣の女生徒の月經の實態を調査する目的で昭和26年1月,縣下各地域の中學生,高校生約1000名を對象として調査し次の樣な成績を得た。

各種血中抗體の季節的消長に關する研究

著者: 芦原義守 ,   小林玲子

ページ範囲:P.119 - P.121

まえがき
 血中抗體の消長は免疫學上興味深い問題であつて,腸内細菌に就てわ齋藤1)が家兎の季節的健常凝集價變動を田中2)等が成人健康者及び高市4)の家兎の凝集素測定があり,又インフルエンザ(以下イと略す)に關してはイ患者の血中抗體の消長に就てMagill5),Horsffall6),内山8)等の報告がある。わたくしらは有志被檢者に就て1950年1月以來1カ年餘に亘り各種血中抗體の消長を試驗管内檢査法にて測定したのでその成績を報告する。

ツベルクリン反應の季節的變動

著者: 今井淸

ページ範囲:P.121 - P.125

 從者結核感染者と未感染者を區別する方法としてツベルクリン反應(以下ツ反と略す)が唯一の方法として用いられて來たが,嘗つて陽性であつたものが陰性になつたり又陰性陽性を繰返したりする事例は多々ある。余はこの間の疑問を解くべくツ反を反復實施してツ反の季節的變動を觀察し,併せてBCG接種者と比較檢討し新知見を得たので報告する次第である。

BCG接種局所反應とツベルクリン・アレルギーとの關係

著者: 今井淸

ページ範囲:P.125 - P.129

 BCG接種後の結核に對する免疫の程度を知るにはツベルクリン反應(以下ツ反と略す)よりも結核菌そのものに對する反應から判斷するのがより適當であることは一致した意見である。ここに於て余はBCG接種の局所反應を重視して免疫の程度をツ反と關聯させて觀察し,その關係の一部を知ることが出來た。

パラチフス流行時における血液中の菌檢索に就て

著者: 隆文雄

ページ範囲:P.130 - P.131

緒言
 本流行は昭和18年7月初旬濁立工兵第38連隊が邯鄲地區より張家口地區に移駐した際發生したものである。
 本流行の特長はパラチフスA及びB型を主とし之に腸チフスが少數混在した三種流行の型をしたもので,更に發生の順序より見れば流行の初期はB型パラチフスで之は移駐前に,移駐後はB型パラチフス,A型パラチフス及び腸チフスと一定期間三種混在し散發的流行相を示した事にある。

最近1年間の日立龜有工場に於ける眼科外傷患者について

著者: 石原喜美子

ページ範囲:P.131 - P.133

緒言
 日立製作所亀有工場は,日本に於ける三大産業機械工場の一つとして,各種起重磯,輸送裝置,土木機械,鑛山機械(巻上機,採炭機械),ポンプ等を製作してをり,工場現場は,機械製作部門(輸送機械課,鑛山機械課,ポンプ課),鑄,鍜造部門(第一鑄造課,第二鑄造課)と製罐課及設備課等よりなり,材料工場より機械加工,組立及試驗迄一貫作業とする綜合工場である。從つて從業員も多數であると同時に,非常に多岐の職種に分かれているのが特質である。
 そこで昭和24年11月より25年10月迄の,眼科外傷患者209名について,季節的,職種別,原因別,更に外傷の種別について,統計的觀察を行つたので,次に順を追うてのべてみたいと思う。

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アメリカ便り

著者: 田多井吉之介

ページ範囲:P.134 - P.134

 皆樣方お變りありませんか,氣にかかりつつも御無沙汰しているうちに1951年もあと30時間でお別れというところまできてしまいました。まず皆々樣がよい新年をお迎えなさるようお祈りします。なにしろ,どんなことを勉強するにしろ,米人學生の2倍以上の時間がかかるので仕事に追われて暇がありません。我ながら情なくなりますが暇がないのも一徳があつて,餘計なことを考えませんから,ホームシツクになる心配がありません。この12月23日から1月6日までのお休みにも,あれもしたい,これもしたい,と豫定しておりましたが,いざ休みになると,サスガはクリスト教國だけあつてInvitationそのたで遊ぶことが多く,アレヨアレヨという間に1週間たつてしまいました。日本を立つ前考えていた,なるべく旅行して廣くみてこようという考えも,いざサンフランシスコへついてみると,ニューヨークまで特急で4日かかるという,トテツもないひろさにビックリして,1-2年では到底"アメリカ"をみることはできないとアキラメました。マサチユーセッツ州の,ボストン市だけで我慢するつもりです。

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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