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受胎調節閣議了解決定以前
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ページ範囲:P.20 - P.20
文献購入ページに移動封建時代の昔,食ぶちをへらすために,堕胎が民間に於て盛に行われ,明治,大正の時代となつても絶えなかつた。それは個人自身或は家族自體の社會的な,經濟的な問題を,解決するためとられた手段であつた。それが生活文化の向上に伴つて,漸次受胎調節の方向にむけられて來たのは當然の姿である。サンガー夫人の來朝と共に,この受胎調節が社會に大きく反響をよんだ。然し殘念ながら,まだ受胎調節を受入れるだけの,社會一般の準備が十分でなかつたために,普及が遲々として進まない内に,日本は滿洲事變より支那事變に突入するに至つて,むしろ生めよ殖やせよの一色で塗られてしまつた。それが終戰によつて,一大變換を來さざるを得なくなつたのである。
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