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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生11巻3号

1952年03月発行

文献概要

醫藥隨想

一筆啓上

著者: 戸田正三1

所属機関: 1金澤大學

ページ範囲:P.23 - P.24

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 某佛哲は,「樂しみは春の櫻に秋の月家内息災3度食う飯」と歌つた。これは,思想も,經濟も政治も,文化も,風の吹きまわしで,ぐらついている今のわが社會には,かような人生觀は,或は良い處方箋であるかもしれぬ。
 この歌の意味を勝手に銓議すると,今,私の目前に吹きすさんでいる北陸の嵐も,やがて春風駘蕩春爛漫,兼六公園にある數百種の櫻花の前徴とも見える。また日本個有の夏の蒸暑さも,われらの力源,秋收冬藏のためと思えば事足る。要するにこの歌は四季の變化に富んだ我國においては,その變化を樂しみ,その自然に順應しつつ,それを我身に服合して,自己の生活の安定と社會の平和を希求した概念のように讀める。中にも,家内息災三度食う飯は,今の日本の生活水準では,健康で文化的な生活運營の最低基盤であるとみてよい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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