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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生11巻4号

1952年04月発行

時評

簡易水道の長所と短所

著者: 廣瀨孝六郞

ページ範囲:P.17 - P.17

文献概要

 簡易水道とは從來の慣例によれば,給水人口1萬以下のものをいい,全國都市水道數の約2/3即ち500近くを占めて居る。併し近く厚生省が全國的に國庫補助を與える對象として居るものは,人口3,000以下500迄というのであるから,更に小水道となるわけである。赤痢禍が東より西に進まんとし,然も其の原因が判然としないというものの一半の責任が水にある事は疑いのない所であるが,此の時に當つて厚生省が水の改善に力を盡し,簡易水道を全國的に奬勵せんとして居る事は誠に其の慧眼に感服するものである。併し簡易水道も水道としての長所と短所とを有する上に,尚簡易なるが故の長短が存在する。今之等の點に就いて少しく愚見を述べて見度い。
 水道の必要又は衞生上の效果に就いては,已に充分に認識されて居る事と思うが,之が完成すれば住民の健康上に種々な好影響を及ぼす,即ち不純な水を止めて完全な水を供給するから,水による傳染病の減退が著しい。水による傳染病としては,腸チフス,パラチフス,赤痢,疫痢,コレラ腸炎等と廣義には消化器系寄生虫病も含められるが,更に之に關連してMills Reinckeの現象がある。即ち水道による腸チフス死亡率の減退以上に一般死亡率迄も著しい減退を示すのであるが,特に小兒の消化器系統の病氣による死亡が減るといわれて居る。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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