公衆衛生12巻1号

1952年07月発行

研究報告

昭和26年栃木縣下に發生した食物中毒について

著者： 大橋久治¹ 渡邊恒明¹ 福田忠義¹ 品田綱造² 江田貞義³ 靑山巖⁴

所属機関： ¹栃木縣衞生研究所 ²栃木縣公衆衞生課 ³栃木縣宇都宮保健所 ⁴栃木縣栃木保健所

ページ範囲：P.41 - P.44

緒言
　廣義の食物中毒の原因については周知の如く魚貝類やキノコ等の動植物の産生毒素によるもの食物に混入した藥物によるもの特異體質或は食餌性アレルギーによるもの微性物の蛋白分解産物が原因となるもの嫌氣性菌葡萄球菌の産生した體外毒素によるものSalmonellaの感染等がその主なるものとして挙げられる。
　我々は今迄に食物中毒例を多數取扱つて精細綿密に細菌學血清學的に動物試驗迄も施行したがその悉くからSalmonellaを分離し得たのではない葡萄球菌を食物中から分離した頻度も左程ではない。變形菌を分離し得ても食物中毒の原因菌と斷定し兼ねたこともしばしばあつた。その都度確實に食物中毒の原因を把握し得たものでない。