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職業病防遏の實例
著者: 久保田重孝1
所属機関: 1勞働科學研究所
ページ範囲:P.3 - P.9
文献購入ページに移動我國で職業病防遏の成果が最も適確に抑握されたのは,近代では人絹スフ工業の場合であつたと思う。昭和初年から昭和10年前後までの本工業に於ける職業病の發生は,單に數が多いと云うだけでなく,質的にも重篤な急性中毒や精神病が起つたと云うことで,本工業關係者はもとより,一般社會の關心のまとであつた。
ところがこの問題の改善を直接の目標として發足した化維工業衞生専門委員會に於て紡糸機カバーの設置が推奬され,昭和14年から16年に至る間に全國の人絹スフ工業にこれが普及したために(第一表)職業病發生の樣相が著しく變遷するに至つたのである。
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