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研究報告
牛乳,酸敗乳中の細菌増殖に關する定量的研究
著者: 柳澤文德1 柴田鐵郞1
所属機関: 1千葉大學腐敗研究所
ページ範囲:P.40 - P.42
文献購入ページに移動牛乳並びに乳製品が經口傳染病或は細菌性食中毒の原因食となり易い事は歐米の文献及び調査に依り明らかである。本邦に於て其の發生が比較的少いのは乳に關する衞生状況が良い爲でなく,その利用率が低く且つ又牛乳に依る中毒が發生したとしても,散發的である爲に明かに追求されずに濟む事が多い爲であろう。特に葡萄球菌食中毒は症状が比較的輕症である丈に,單に牛乳に當つたと云う事で濟まされて了うことが少くないと思われる。このことは牛乳飲用後數時間にして,比較的激しい嘔吐,下痢を起した經驗を持つている人々が多いことからもうかがわれる。勿論新鮮な牛乳を飲用して下痢を起す習慣のある人も食中毒ではなく,消化不良のことも考えなくてはならない。例えば最近學校給食の脱脂牛乳で嘔吐,下痢の集團發生が報告されているが,昭和25年千葉縣で發生した例では,むしろ脱脂乳の飲用の仕方の不注意(消化不良)に起因するものであろうと云う調査結果を得ている。昭和26年秋田,大分,長野に發生した脱脂粉乳に依る中毒症状の原因が食中毒か消化不良かは不明であるが脱脂粉乳は吸濕性である點より細菌増殖も當然考えられるので,食中毒の疑いも考える必要がある。いずれにせよ牛乳及乳製品は細菌増殖に適した食品だけに多くの問題があるのに鑑み,私共は牛乳,酸敗乳中に於ける細菌増殖に關して2,3の實驗成績を得たので茲に報告する。
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