座談会
アメリカの公衆衞生に何を学ぶか
著者:
高部益男1
田多井吉之介2
松本順一郎3
辻達彦4
平山雄5
所属機関:
1厚生省結核予防課
2国立公衆衞生院生理衞生学部
3国立公衆衞生院衞生工学部
4国立公衆衞生院母子衞生学部
5国立公衆衞生院疫学部
ページ範囲:P.22 - P.33
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高部 大体アメリカという国は広過ぎますね。「アメリカではどうですか」というふうな質問がよくありますが,少なくとも私が関係してきた範囲では,「アメリカではこうだ。」と概括的にいうことは相当危険があるんじやないかと前々から感じているのです。私はアメリカには12カ月しか居りません。その上ボストンで8カ月を学校で暮して,あとの4カ月は,東部のロードアイランドとか,ニユーヨークなどの五州の首府やワシントンDC,(連邦政府の首都),それから南にいつてテネシーとジヨージア,中部のデトロイト,アンナバー,シカゴ,それからロサンゼルスとサンフランシスコといつた風に歩き廻つただけです。8カ月の学校というのは相当無駄だと思つて行つたのですが,アメリカ公衆衛生の総論を知るのには,充分に役に立つたと思います。その後の旅行は,その御蔭か各論的にものを見たことになつた訳です。田多井さんはどのように歩かれたかということを何か一応お話しいただけるといいと思うんですが。
田多井 私のオリエンテーションはペンシルバニア州の片田舎にあるバツクネル大学,そこに1ヵ月半いました。私達は最初3人で一緒にいつたわけですが,バツクネル大学へゆく前にニユーヨークに滞在する期間がありました。大体2週間,遊んでいては勿体ないという意昧で方々見に廻りました。