icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生13巻6号

1953年06月発行

文献概要

研究報告

ビタミンA及びD過剩投與の蛔虫感染に及ぼす影響(集団実験成績)

著者: 森下薰1 西村猛1 高田季久1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所・寄生虫原虫学部

ページ範囲:P.91 - P.94

文献購入ページに移動
緒言
 蛔虫感染とビタミンとの関係については,今日迄種々なる実験が行われて居るが,実際問題として尚不明な点が少なくない。VAについてはその欠乏は感染を容易にし,その存在又は過剰投与は感染を阻止するとされ(平石,1926,27:佐々木,1928:中島,1938,39),VBについては,その欠乏では著明でないが明かに感染が増加すると云われ(佐々木,1928),VCについてはその欠乏では感染が少なくなるが過剰では感染を高めるとされて居る(佐々木,1928)。VDについては,その単独の意義は尚充分明かにされて居ないが,VAとの関係に於て行われた実験がある。佐々木(1928)はラツテに於て人蛔虫を以つて実験し,VA及びVDの欠乏はVAのみの欠乏の場合と大差なく,VDを増加せしめても感染が高いと云い,中島(1938,39)は犬に於て犬蛔虫を以つて実験し,両者の一定量の比率では協力的に作用して感染を防止するが,VDを増加すると両者は桔抗的に作用し,蛔虫感染防止力を失うと報じた。
 以上は何れも動物実験に依る成績であるが,人体については,今日迄実験的な研究は殆どないと云つて良い。私等は人体に大量のVAを投与し,蛔虫感染に対する影響を知らんとする実験を企てたが,材料の関係上VDの伴うものを使用せざるを得ないことになつたので,結局VA及びVD投与の結果をみるための実験となつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら