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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生14巻1号

1953年07月発行

文献概要

研究報告

山口縣一炭鉱に於ける鈎虫症に関する一觀察

著者: 川本脩二1 三谷和合1 飯田孝雄1 松村眞三2

所属機関: 1京都府立医科大学医動物学教室 2宇部市東見初炭鉱附属病院

ページ範囲:P.39 - P.41

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 1880年,E.perroneitoが鉱山従業者に多く見られる貧血症が,鈎虫の坑内に於ける経皮感染によつておこる事を説いて以来,之は各国に於て認められたが,我が国に於ても1925〜1927年吉田,門馬,松下の詳細な研究以来,幾多の研究が行われている。
 吉田,門馬,松下は九州,山口,北海道12の炭鉱にて何れも坑内夫が坑外夫より鈎虫の感染が濃厚である事を認め,之を坑内に於ける経皮感染によるものであると結論している。但し山口県及び北海道に於ては,その差が九州程著明でないが,前者は海底炭鉱なる為の坑内水の食塩による抑制,後者は北海道に鈎虫少き事と坑内夫の被服の整備によるものと言つている。黒田(1949)によると九州,東北北海道,30鉱で鈎虫は坑内夫の方が多く,特に九州ではそれが著明であり,北海道では一般に感染率は低いが多少坑内夫に多く,東北では差を認めない。三好他(1951)は山口県宇部市の炭鉱地区では,炭鉱従業員に特に鈎虫が多いと云う事実は認められない。之は鉱道が比較的短く,設備並に作業状況よりみて,坑内の鈎虫蔓延を助長する野糞や素足作業等の少いことが理由としてあげられようと言つている。坪郷他(1952)によれば東北の一鉱山に於て坑員は家族より鈎虫感染率が高度であるが,鈎虫の坑内感染については述べていない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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